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・辿りつく 先には・
第17章 『距離』
辛く悲しく苦しい事からは、逃げ切れるなら逃げ切りたかった。一生、苦しむのはもう沢山だ。

私は昔から愛する人が、必要だった。

物を作り上げるにも、愛情は必要だ。貰った時どんな顔をするのかなとか、喜ぶかなを想像しアクセサリーや手芸事をするのは幸せだった。
絵画は得に抽象的なものは愛が必要だったことが分かった。
感じた気持ちや想いを絵画に描くと、筆が進みいいものが描けた。

徐々にだがそれも売れ初めそんな、お金で聖の所にも行ける。

今までの生活スタイルが戻りつつあった、自由気ままに猫の様に生きる。

本来の私を取り戻せたのだ、もう何を言われても旦那の思う私には戻らないだろう。

考えに陥りそうになると、必ず聖はさらりと現れる。電話がなり、慌てて取った。

「着いた?上がるよ。残業は無しにした。早く逢いたいから。」
「駅前の喫茶店に入ってたの。一つしかないから 分かる?近くなればメールくれたら出るわ。」

「分かった、こちらはどう?田舎やろう。」
「私の実家のが、此処より何もないわ。田舎は大好きよ。早く逢いたい。車、気をつけて、お帰りをお待ちしております。ご主人様。」

「沢山、可愛いがったる。幸せな気持ちで気を楽にな。」

「ありがとう、後でね。」

耳元でキスの音がして、ほんのり淡い気持ちすら残してくれる。女慣れしている事を思い出し曇る心を、追いやる。今は考えない様にした。
手紙を書き終え、後であげる為に封をして、鞄にしまい連絡を待った。

日は西に傾き初めている。

残り10分と言われ、お店を出てスーツケースを引き駅裏に向かう。

車が停められるからだった。小さな黒い車がゆっくり入って来た。あれかなと思ったとこで、目の前で停まる。

中からは二ヶ月ぶりの、背の高いキリンがゆったりと出て来た。

車を回り、スーツケースを取り様に軽く引き寄せられキスをされた。

耳元の声に、全身が反応する。


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