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第18章 『発見』
顔を引き寄せられ、唇は重なる。どうしてこんな優しい甘い甘いキスを出来るのだろうとそう考えた時には唇は離れて行った…

出た所で背中を拭いてあげた。振り返り、私の背中も拭いてくれたあとコーヒーをセットしだしたのでパンを焼いた。

「パンだけでいいの?支度して。目玉焼き、食べる?」

着る物を取りに行きながら、声が聞こえる。

「スクランブルエッグ~」

「は~い。オーダー受けました。」

今を純粋に楽しむスイッチに、入れ替えが出来た。


気持ちのスイッチの切り替えを早くしないと、そう心掛けた。そうしないと、心が折れてしまう。

もやもやとした気持ちは、料理により掻き消された。昔から料理は趣味の一つだった。何か嫌な事があれば、美味しい物を作り気分を上げてきたりもした。

卵の中に少し牛乳を混ぜる。スクランブルエッグがふんわり仕上がると、何かで見たからだった。黄身の黄色と白い牛乳がマーブルになり綺麗だなと思った。


今の私の気持ちの様に、そのマーブルは回される。複雑な想いを消したくて一気に掻き混ぜた。

支度が整った様で、コーヒーを入れて座る所で全てが整った。簡単な朝ご飯が揃う。

食べる前にきちん、と頂きますを手を合わせてから食べ始めたのにちょっと微笑んだ。

「スクランブルエッグふんわりしてて上手いなぁ。」

「良かった、何かで牛乳混ぜたらいいと書いてたから。牛乳あって良かったわ。」

「本気、料理は夜やな。楽しみ、冷蔵庫が小さいけど入ってる物は使って。」

「はい、ありがとう。聖はお行儀がいいのね、食べる前にきちんと頂きますと手を合わせてくれて。」

「作って貰ったから、後は命を頂くんやし。それと行儀と作法には家が厳しかった。そんな時代や。」

「家も厳しかったわ、父が得に。食事中の会話も微妙なくらい。聖はでも所作が綺麗。構えがいいのか、箸の持ち方とかも。厳しかったのもあり、ついつい見ちゃうの癖かも。」

「でも、それは分かるわ。がさつな女は苦手や、僕も。」

「お食事ってもしよ、一緒になった人達がいれば毎日するじゃない?それがお行儀、良くないと毎日が苦痛になりそうっていつも思うの。」
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