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・辿りつく 先には・
第19章 『絶対』
いつも軽いキスなどくれなかった。熱く魂に炎が燈るような口付けは、常に瞬間的に身を焦がされ辛かった。

唇と下の花園は直接、繋がっているのではないかとそう思う程だった。

身体が熱くなる、何度か唇をずらしてくれて息を少なかったが、吸えたがやはり意識が飛びそうになり堪えたのにそれを打破してこようとする魔王。

玄関の内扉に押し付けられ、糸も簡単にキャミソールの肩紐を下ろされ胸を揉みしだかれ先端を摘まれただけで身体の中心に光りが駆け抜けるようだった。

がくがくと膝が震え、力が抜けそうな所を抱き留められる。
「ただいま絢音、いい反応になってきたやん。キスと接触だけで逝けて、ほんまええ子や。」

声は上から降り注ぎ、呼吸の乱れは頭を撫でる手により落ち着きを与えられる。
帰った早々に、激しい感情をぶつけられ文句がいいたくても遮られる。身体と心が持つのだろうかと思った。

「いい匂い、絢音もだけど、これは食べ物の匂い。わざわざ支度、ありがとう。」

それに漸く顔を上げられた。見上げると、優しい優しいキスを一つくれた。

「聖は本当に意地悪…上がりましょう。夕飯、出来てるから。」
そのキスに顔がほてるのを、見られたく無くて上に先に上がる。後ろから上がる聖の手が、足元から伸びてきて声を上げた。

「パスタがのびちゃうわ。手を洗ってきて、何か飲む?」

それにビニール袋をくれた。洗面所に向かいながら、声だけが響く。

「ワイン無くなったかなと思って。」

「お料理には少しだったから、まだ一杯ずつならあるわ。先にそれを飲む?」

「じゃあ一杯だけ。」

戻って来るとまたキスをされた。自分も相当なキス魔だと思っていたが、上には上がいるものだ。

向かい合わせで席に着いて、いただきますを言うと二人で笑った。

「給食みたいやな。」

「ホントね、懐かしい。給食、パンが苦手でご飯の日が嬉しかったなぁ。」

「とりあえず乾杯、あと丸々、二日は二人切り。楽しもう。」

「ありがとう、お世話になります。」

グラスの音が耳にこだまする。温かい気持ちをいつもくれる聖。優しい人なのは確かなのだろう、それは思った。気遣いもしてくれる。
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