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・辿りつく 先には・
第4章 『逢瀬』
ああ 何て素敵な言葉なんだろう。そう素直に思った。

彼の好みになんてなって、あげたりもやっぱりそういうのは必要かもとは思っていたが 服くらいは自由に着たい。

そう思ってはいた。色々な事が自由にならない世の中なのにとも。

だから今は、自分の為に自分の気持ちを上げたくて綺麗になりたい気持ちを込めてお洒落を楽しんだ。

それを鬱病だった時には出来なかったから余計に。

本当に世界に色が付いた気持ちだった。
女性はアクセサリー、一つでも気持ちが上がる。買ってくれたお友達たちが、この間 してたら凄い気分アップになったんだよ~

そう聞くと、私にも小さな魔法は使えるんだと励みになった。一つずつ一つずつ 、色々な事を出来ていけるのが本当に嬉しかった。

鏡の前にはきちんと、女の私がいた。

忘れていた小さな愛が、私を変える。妻ではない、一人の女。

昔は女でいるのが本当に、苦手で気恥ずかしい部分もあった。今もだから髪はショートだったが、それが一番 私らしい私な気持ちがした。

意識をしてどんどんと女に戻るのに、戸惑いながらも今を楽しんだ。

過去はもどらず、あるのはただ今と未来だけ。今と未来を楽しむ事を、咎められる事はもうなかった。

色々な重い鎖から、解き放たれてはいけないのかも知れないがもう後戻りはしないと心が言っていた。

言い争いのばかりな、日々は疲れた。

前へ一歩、何があるのかを知りたい。この目で確かめ、体の全てで感じたいと思った。

さらりと私の中に入って来た、N。聖玲さん聖なる人ではないのも分かっていた。だが鮮やかに美しい玲の意味。正にそんな風に私には今は思えた。

曇り空だった人の曇は流れ、まるで太陽のように。

だがそれは、月であり陰の力だと後に気付くのだがもうその時には全てがNの手の内であった。

それを知らぬまま、今は春の陽気の中 出会いに胸を踊らせている絢音だった・・・
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