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第4章 『逢瀬』
「楽しみにしてて、くれてるって事でいいのかな?一番は僕に会うのが楽しみだと言われたかったけど。」

それには苦笑してしまう。

「そういう話、いつも会える方々がいたら言ってません?私はこんな風でも、実はかなりの恥ずかしがり屋だから もし思ってても言えませんよ。」

「ずっと誤解されている気持ちがするよ、確かに色々な人に逢えたのは そうだけど毎回、その度に恋をする気持ちだったけど。淋しさにね、堪えられないんだ。孤独の闇に弱いから、鬱にも囚われてしまったし。でも毎回、女性達が助けてくれる訳でもないし終わってから次には行っているよ。またこんな話をしたら、さらなる誤解になるのかもだけど。」

深層心理を、考えてしまった。自分がどうして、鬱にはまったかと夫との事で悩み 自分の故郷からは離れ 回りにも友人は少なかった。確かに孤独は、辛かった。一番に理解して、貰いたかった夫には酷い言葉ばかりを浴びせられた。深呼吸をする。今は囚われては、駄目だ。話していると、たまに引き連られそうになる時があった。陰と陰が固まる。それは避けたかった。

「気持ちが痛い程、分かるから今は止めましょう。楽しみな明日を、考えていたいし。」

相手の息を呑む音が、耳に小玉して波紋の様に広がりを見せた。心にも、それは波を作る。

「ああ、ごめんよ。絢音も、辛い思いをしたのにね。配慮が足りなかったよ。言いたかったのは、違うんだ。僕が楽しみにしているのは、一番は君に逢える事だよと言う事。ずっと、ずっと 待っていたんだ。チャットで話してから、少ししてすぐに君がどんな人なのかを知りたくて。心根が繊細で、優しい。気遣いが出来て、そして何よりも僕が話す事を真剣に聞いてくれる。それで、どれ程 精神が安定していられたか。感謝しきれないよ。」

言葉が侵入を始めるように、波紋を更に波打たせる。胸に手を当てた。深呼吸をもう一度。言葉を選ばないとならないと、気遣いをする。相手は、まだ鬱病の最中なのだ。些細な言葉で、傷付けたくはなかった。

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