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第4章 『逢瀬』
「それは、素直にありがとうと言うわ。私自身だって、毎日ろくに話す人もいなくて孤独じゃなかった訳ではないし。アクセを作り疲れたりした時、タイミングピッタリでメールが着たりしたら本当にホッとしたんです。でも、それがどんな気持ちかは正直まだ分からなくて。」

ちょっと息を吸った。それを聞かれてると思っただけでも、顔が熱くなった。随分と、自分の中にもまだまだ純粋さがあるのだなと思った。
「だからね、会えたらきっとその気持ちが何かを分かる気がして。昔からね、何でも試してみないと気がすまないタイプで。」

それに笑い声が、耳に心地好い。くすぐったさが増す。

「思ってるより、ずっと行動力はあるタイプなのかもね。色々な事をしてるから、バイタリティーはあるんだろうなと思ってたけど。内面は恥ずかしがり屋な、可愛いとこがあるし。もっと素直さを出せたら、きっとモテモテになっちゃうから 素直さは僕だけに見せてね。」

この人は、技と私をからかいたくて言っているのかなとさえ思った。男性慣れしてない訳ではないが、こんなストレートに感情を言われた人とは一緒にお付き合いした事はなかった。

「もう、聖玲さんはそういう口の上手い人だと認定しちゃいますからね。顔が熱くなるから、止めて。」
「本当の事しか言えないから、仕方ないね~そや 明日なんだけど本当に新幹線の着くとこで待っててくれるん?」

話題が変わりホッとする絢音。心臓だけが、脈打ちっぱなしだ。女でいれなかった時が長すぎたのかと、苦笑する。

「そのつもりですよ~明日は着替えたら、その姿を送りますね。探しやすいように、聖玲さんもお願いします~お仕事は午後からだから、私服で来るのかしら?」

「そうだね、スーツだと疲れるしホテルに一度、荷物を置かせて貰うよ。絢音もそうしたら、身動き楽だろうし。あそこは12時からチェックイン出来るとこで有り難いんだ。夕方までのんびり休んで、ても良いから。みなとみらいで夜は食事をしよう。」

まるで本当に、デートのようだなと思っていた。しかも相手は、女性の扱いにも手慣れている。今の年齢になればそれが、恥ずかしいが有り難いとも思った。
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