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・辿りつく 先には・
第1章 『突然』
突然の出会いはやって来て、魂の奥底へと侵入をするのは曇り空の人。だがそれは仮の姿であり陰の力を持ったとてつもない魔王だと後に知るのだった。絢音はそんな事を露も知らず、普通に会話を続けた。

・もう 今日の家事は終わったんですか?・

・終わりましたよ~・

・テキパキされてるんですね・

・そんな事もないです・

あえて主婦なのは隠すのものちにはきっと、面倒になるので年齢以外は正直に話しをした。どうやら単身赴任生活も長いみたいで、家事をあちらもこなしているらしい。チャットのハンドルネームは何故か、アルファベットのN それを聞いてみたが深い意味はないらしい。でもみんなが平仮名の名前や漢字の名前なので目立つようだった。

色々な話しをしたあとに互いの鬱病の辛さなどを話していると、親近感がぐっとになってくるのも人間の不思議な所かもしれない。

また、そんな事をぼーっと考えていたら画面にえっと思って、目がくぎ付けになった。

・長く話していたら、気分も大分良くなってきました ありがとう 今日、お休みしてしまい またちょっと自己嫌悪してたけど良かった・

・何が良かったんですか?・

・えっ ああ だって休まなかったらこうして萌那さんと 会えなかったでしょう まぁ実際は会えてないけど 画面を通してですが・

一瞬、身を固めてしまった。そんな二十代前半の小娘でもないし、そんな台詞で舞い上がれる程 男性経験がない訳でもない。

・またまた~ そんな台詞は来た方、来た方 言ってますね さては?・

あえておどけてみせる事にした、絢音。
・そんな事ないですよ、むしろチャットも疲れちゃうからあんまり 長くはやらないのにもう二時間も・

・あれ 本当ですね。でも、私も楽しかったですよ~・

・良かった。こんな事、言うとひかれちゃうかもですが、もしですよ 嫌じゃなかったらまた話したいし連絡先交換なんて 出来ませんか?・

そこで再び、固まってしまった。集合チャットだった事もあって、そんな事を言われたのも初耳の事だったのだ。

だが、反対に考えるとそういう手もあったのだと妙に納得はした。チャットはチャットの区切りがあったので、リアルな世界までの侵入などありえないのだと思っていたからだった。

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