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・辿りつく 先には・
第5章 『現実』
それに羞恥心と戸惑いを感じた。
お腹の下を外からちょっと撫でる。
熱い気持ちと体が、すべてNに向かっている気がして騒めく心を止められなかった。
新幹線がホームに入って来た。ゆっくりとだが確実に。それが今の二人の関係の、様だった。
回りの騒めきは、一瞬にして消えた。窓が幾つか通り過ぎて、数えた数が8になる頃 姿が見えた。
手を上げて、絢音をはっきりと捕らえ 彼女もNを見つめていた。
一瞬のようで長い永遠。
心が締め付けられて、声が失われてしまった気持ちがした。
シューと音がして、扉が開く。そこに架空世界から現実の世界へと、真実となって現れた魔王。
見つめられただけで、体は固まり何を話そうかなども消えてしまった。一瞬にして魂の一部を奪われた気持ちがして、手が奮えていた。
口が開いて声は耳に届いていていたのか?
「やぁ、絢音。来たよ」
その声は電話で聞く声より、さらに耳に心地好く自然に入って来た。まるでそれが自分の心の鍵を開く最初の侵入のように。
返事をしようと思ったが、声が出ない。それに微笑んだNはゆっくり手を伸ばした。
まるでスローモーションのように見えてならなかった絢音。
体温で手が焼かれるなどありはしない、だが捕まれた手から炎が上がる気持ちがして身を引こうとしたが 既に腰にも、もう一方の腕は回されていた。
ぐっと引き寄せられた、絢音。背の高いNの胸元にすっぽりと隠されてしまう。
首を下げてくれたのだろう、耳元にしっとりとした声が響く。抵抗が出来なかった。今まで男性を突き飛ばして来たこと等、なんどもあったというのに…
「逢いたかったよ、絢音。本当に何度この日を想ったか。我慢なんて出来る訳がない。やっぱり君は本当に綺麗だ。香りも素敵、誰にも君を見せたくないよ。僕の絢音。」
全てが完全に支配されてしまうのではないかと、そう思った。
体中の神経や血が、Nの言葉で生きる再生をかけた様に。
私はこの人に、私が思っている以上に逢いたかったのだとその事を深く知るのだった。理屈ではない心が、魂が感じている。
お腹の下を外からちょっと撫でる。
熱い気持ちと体が、すべてNに向かっている気がして騒めく心を止められなかった。
新幹線がホームに入って来た。ゆっくりとだが確実に。それが今の二人の関係の、様だった。
回りの騒めきは、一瞬にして消えた。窓が幾つか通り過ぎて、数えた数が8になる頃 姿が見えた。
手を上げて、絢音をはっきりと捕らえ 彼女もNを見つめていた。
一瞬のようで長い永遠。
心が締め付けられて、声が失われてしまった気持ちがした。
シューと音がして、扉が開く。そこに架空世界から現実の世界へと、真実となって現れた魔王。
見つめられただけで、体は固まり何を話そうかなども消えてしまった。一瞬にして魂の一部を奪われた気持ちがして、手が奮えていた。
口が開いて声は耳に届いていていたのか?
「やぁ、絢音。来たよ」
その声は電話で聞く声より、さらに耳に心地好く自然に入って来た。まるでそれが自分の心の鍵を開く最初の侵入のように。
返事をしようと思ったが、声が出ない。それに微笑んだNはゆっくり手を伸ばした。
まるでスローモーションのように見えてならなかった絢音。
体温で手が焼かれるなどありはしない、だが捕まれた手から炎が上がる気持ちがして身を引こうとしたが 既に腰にも、もう一方の腕は回されていた。
ぐっと引き寄せられた、絢音。背の高いNの胸元にすっぽりと隠されてしまう。
首を下げてくれたのだろう、耳元にしっとりとした声が響く。抵抗が出来なかった。今まで男性を突き飛ばして来たこと等、なんどもあったというのに…
「逢いたかったよ、絢音。本当に何度この日を想ったか。我慢なんて出来る訳がない。やっぱり君は本当に綺麗だ。香りも素敵、誰にも君を見せたくないよ。僕の絢音。」
全てが完全に支配されてしまうのではないかと、そう思った。
体中の神経や血が、Nの言葉で生きる再生をかけた様に。
私はこの人に、私が思っている以上に逢いたかったのだとその事を深く知るのだった。理屈ではない心が、魂が感じている。