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第7章 『契約』
ベッドに倒れ込んでしまう絢音。間近で顔を見て、心臓の音が聞こえてないかを思った。

抱き寄せられてしまう。いつも簡単に、何もかもを予想 出来ないからこうなるのだと思った。

「もう少しだけ、絢音の体温と香を感じさせてや。」

今度は自分が抱きしめて、あげる時なのだと思った。恥ずかしかったが、それ以上に疲れているこの人を癒してあげたいと素直に思えた。

静けさが二人を包む。夜景だけがその、静寂を見守り 保っているのだった。

寝ちゃうかなと思い、声をかけた。

「少し休むなら、スーツの下も脱いだ方がいいわ。しわになるから、聖?それにちょっとだけマッサージする?」

それには顔を上げた。微笑みが、か細い。やはりこんな人が色々な、強引な事をした様に見えなかった。

「ちょっと久しぶり過ぎて、疲れたわ。そやマッサージ、楽しみにしてたからして。そおしたら、元気出るかも。」

それに微笑んだ絢音。優しく手を撫でた。

「Showerを先にする?着替えた方がいいし、お湯は少しためておいたのよ。浸かるといいかなと。」

それに漸く、体を動かす気になれたらしい。

「おおきに、それは嬉しい。少し浸かるかな。まだ 一時間半くらいはあるし。やっぱり遅くしといて良かった。」

時計を見たら6時半を、少し回った所だった。

上向きに体を変えて、手を上げた。それに笑った絢音。

「もう、甘えたさんっ。お・も・いっ」

上半身を起こして、ベッドの縁に座りもう一度 抱きしめると今度は絢音の胸元に顔があった。

それに心臓の音が、やっぱり聞かれそうでハラハラとしていた。腰下に手が回された後に、背中側へとゆっくりと手が上がるのにゾクゾクとした気持ちが消せなかった。

「身体が緊張してるで、絢音。強張らなくてええ。でも、胸は柔らかくて気持ちええわ。」

「もぅ、離してっ。優しくしてあげたのに~恥ずかしいから、お願い。」

見上げた顔は、いつもの余裕の表情が戻って来ていた。顔がこんなにも変わるのを不思議に思った。
ぐいっと押して、距離を作ったが背中の手と腰の手は 外され無かった。

「また、着替えたんやね。何を着ていても似合う。ネックレスも手作り?さすがやね、絢音に似て繊細やわ。」
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