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第9章 『調教』
顔が炎の塊となるような、気持ちがしてならなかった。

ゆったりとした、自然の動きで 朱赤の升から口にお酒が入って行くのを目にした。

朱赤が光に煌めき、聖は余りに妖しく美しく微笑みを浮かべ正に魔王の顔をしていたのだ。

出逢ってはならなかったのだと、そう思った時にはもう手遅れだった。

魂の一部をあの瞳に、切り取られた。

還してくれと叫んでも、この魔王の耳には入らないだろう事をMの心が知っていた。

太股からは炎が上がり、常に焼かれ続けるこの身は一体どうなるのかが不安だった。

溶けて無くなってしまうのではないかと、本当に思い水を口にしても喉までもが熱かった。潤わないのは、太股の手のせいを知っていた。

箸を取り食事に、意識を移すがどうにもならない。

ゆっくりと手が上へ下へと、漣のように流れる。瞳だけは絢音の頬の上気、恥じらいを目にし心躍らせていたN。

愉しんでいたのは、魔王で 手が侵食を初め喰らわれていたのは正しく小動物となった絢音。足を捕われたら、動物は身動きを出来ない。

「待って… お・ねが…」

答えは無かった。指先が下腹部から下へ、滑り混んだ。

回りの話声は、絢音の耳には聞こえない。

少しだけ開いた足の間を、形のいいNの指先が揺らめき確実に絢音の敏感な場所を探し当てる。

羞恥の表情を見るのが、何よりも好きだった。たえて堪え、頬がほんのりと赤みを増す。冷淡な笑みを、見る事は無かった。俯いてしまう絢音。だが顔は髪で隠れる事は無かった。髪が短い女を好んだのも、表情を良く見れる為だったからだ。

足の間に力が入り、逆に指が更なる中に入り混んでしまう。
魔王がふっと笑った、声だけが耳に突き刺さるように入ったと同時に身体が痺れる。囁きが耳を貫く。

「逝くんや、絢音。僕の美しい奴隷になりぃ。」

からんっ と音を立てて箸が落ちた。その音と同時に身体は、聖の肩に崩れ落ちた。手先が痺れ、頭の中には瞬きと光が散っていた。

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