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祐子の欲望
第3章 祐子の試練
飛行機で高知空港に降り立ち、こはるが実家に電話を掛けた
両親が空港まで迎えに来てくれるらしい

「いきなり両親に逢うって怖いよ」

「実は、好きな人ができたからって、言っただけで女性とは言ってないんだよね」

「何よ今更」

「でも大丈夫。考えさせる時間がないから、強引に押し通せば許してくれるし、ダメならこっちから縁を切るわ」

「祐子さんだって、ここまできて引き下がれないでしょ?」

「当たり前でしょ?」

「出たとこ勝負って感じ」

「誰がそうしたのよ!」
二人のやり取りが終わると、1台の車が近づいて来た
車から降りた女性がこはるに近づき、男性の方は祐子を見ている

「お前の好きな人って、女の人かね?」

「そう、紹介します。祐子って言って、私より3つ下」

「初めまして。祐子です。」
男性の方はずっと祐子を見ている

「この人と一緒になるって話なのかね?」

「そう。東京の渋谷区では同性婚を認めてるの。そこで籍を入れるって決めてるの。婚姻届も書いて持ってきた」

「そちらの御両親は何て言ってるの?」

「私の人生だから好きに生きなさいって、賛成してくれました」

「ご兄姉は?」

「兄と妹がいてます」

「そうなんですね。お兄さんは、結婚されてるの?」

「はい。実家で親と一緒に暮らしてます」

「お孫さんは?」

「はい。二人いますね」

「恵まれた環境ですね」

「感謝してます」

「取り敢えず、家で話しましょう」

「はい。宜しくお願いします」
母親の質問責めから逃れ、こはるの腕を掴んで握った

「第一関門は突破したわよ」

「お父さんは何も話してないけど」

「お父さんには分からない世界よ。だから母があれこれ聞くの」

「お父さんは賛成してくれそうね」

「男より女の方がいいに決まってるよ。祐子さん、可愛いし。反対する口実がないわ。父にはね」
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