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祐子の欲望
第1章 祐子の眼力
メモ書きには、出来るだけ早く返事が欲しいと書いた
携帯番号やアドレスまで
祐子の全てを教えた

翌日、女性はあの電車に乗っていなかった
メールで返事をくれても構わない
しかし音沙汰がない
一番辛い時間かも知れない
嫌われたと思って諦める
そう思うとなんか楽になれる

次の日も、その次の日も現れなかった
祐子は翌日、いつもの車両から変えた
気分転換にもなるし、忘れようと思い始めてもいた

車両の通路に立って女性の座っている同じ場所を見た

女性が座っていた
祐子は女性の前に立って

「どうして返事くれないんですか? 嫌いならそれで仕方ないと、諦めもつきます。次逢った時、返事下さい」
一方的に話した
女性は黙って聞いている
祐子は悔しさがこみ上げて来て躰を震わせた
自分に逢いたくないから、車両を変える
馬鹿にされ、透かされたようで、祐子のプライドも傷ついた
とにかく明日まで、返事を待とう

翌朝、いつもの車両に乗る事にした
居なかったら、昨日の席まで移動すればいい
車内に入り、直ぐ座席を見た
女性が座っている
いつもは俯きねているのに、今日は起きて祐子を待っているようだった

祐子は女性の前に立ちはだかった
女性は待ってたように、何も言わず祐子に手紙を渡した
祐子も受け取り女性を見つめた
いよいよ最後の審判が下される
女性が電車から降りて、その座席に座って手紙を読んだ

「私は貴女と釣り合わない女です。住む世界が違います。返事を返さなかったのは、関わって欲しくなかった。それだけです。あのようなお手紙を頂いたのは正直嬉しかったです。さようなら」

一気に読み終え、内容が理解できなかった
私が嫌いではなく、住む世界が違うからダメなの?
納得できずに、さよならなんて嫌

祐子は改めてもう一度手紙を書く事にした
翌朝、いつもの席に女性が座ってる
目の前に立って手紙を出した

「受け取って下さい」
祐子は女性が取るまでずっと差し出した
駅に差し掛かり、女性も収集がつかず、受け取った
女性からの返事は期待してない
読まずにゴミ箱に直行した可能性だってある
手紙の返事を少しだけ楽しみに待つ事にした

翌朝、女性から手紙が渡された
嬉しい以外の言葉がなかった
早速読んだが、確信を避けてるのが直ぐ分かる
言えない事情があるんだろう
でもそれを聞ければきっと理解できると信じている
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