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残像
第2章 記憶
戸板の前に人を立たせ、刺さらないように小刀を投げる。
小刀は当たっても深く刺さらぬように細工はしてあったが、戸板には刺さらねばならぬから、当たれば致命傷にはならなくとも怪我はする。
怪我をさせればもちろん芸にはならぬから、折檻される。
八尋は筋が良かったらしく、あまりしくじることなくすぐ舞台に立てた。
身軽で、縄の上を歩くのも得意だった。
そして、十になるかならずかの頃には、稚児趣味の男の目に止まる。座長は一級品の秘蔵っ子だとふっかけ、法外な値を示したが、それでもよい、という者がいた。
これはとんだ金の卵だ、芸はする身体も売れる、しかもまだ幼いから命も長い。座長の笑みが止むことはなかった。
小刀は当たっても深く刺さらぬように細工はしてあったが、戸板には刺さらねばならぬから、当たれば致命傷にはならなくとも怪我はする。
怪我をさせればもちろん芸にはならぬから、折檻される。
八尋は筋が良かったらしく、あまりしくじることなくすぐ舞台に立てた。
身軽で、縄の上を歩くのも得意だった。
そして、十になるかならずかの頃には、稚児趣味の男の目に止まる。座長は一級品の秘蔵っ子だとふっかけ、法外な値を示したが、それでもよい、という者がいた。
これはとんだ金の卵だ、芸はする身体も売れる、しかもまだ幼いから命も長い。座長の笑みが止むことはなかった。