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残像
第3章 囚われの生活
主人は稚児趣味だったから、今までにも何人も、八尋のような囲われ者が居た、というのは、何となく判った。

主人の部屋には、床に開口部があった。
床板を一部切り取った、蓋のような構造の開口部の上は押入れになっており、襖を開けることで初めて開口部が現れる。つまり、襖を閉めればそこに開口部があるなどとは誰も思わない。隠し部屋への通路のような造りだった。

そこを開けると、地下に部屋がある。

押入れに折り畳み式の階段があり、それを降ろすと地下までの道ができた。

地下は座敷牢になっていて、八尋は普段、そこで過ごす。
そして、その開口部が開くのは日に一度、主人の部屋に呼ばれる時だった。

座敷牢には厠はなく、用はそこで足せ、と教えられた桶のような簡易の厠があった。
その桶は蓋がしてあり、外から抜きとれるようになっていた。
日に一度、八尋が主人に呼ばれている間に中身が捨てられていた。蓋はしっかり閉まるようになっており、用を足すために蓋を開けると臭ったが、蓋を閉めれば臭気は気にならなかった。

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