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残像
第4章 脱走
男に手を引かれ、座敷牢を出る。
そのまま、天井近くの小窓の下まで連れて行かれた。
男は腰に付けた鍵爪付きの縄を解き、慣れた調子で外に投げた。

「負ぶされ」

男は屈んで背を向け、顎だけをこちらに向けた。
おずおずと背に捕まると、

「そんなんじゃ落ちるぞ!しっかり掴まれ!」

どやされ、ぎゅっと肩に掴まった。

男は八尋を背負って縄を登る。

小窓はあらかじめ外から細工してあったのか、わけなく外れた。

「この窓は一人ずつじゃねぇと出られねぇ。まずお前が出ろ。俺の肩を足場にすりゃ出られんだろ」

八尋は言われた通り、背中から肩に登って、小窓から外に這い出た。

その後男も出てくる。

「お前、走れんのか?」

「わからない…」

「ちんたら歩ってる暇ァねぇんだ。走れねぇならもっかいおぶされ。」

また言われるままに背にしがみつくと、

「走るぞ。舌噛まねぇようにしっかり歯ァ食いしばっとけ!」

男は走り出した。

どこをどう走ったのか、二人は山中の、小屋に辿り着いた。
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