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残像
第4章 脱走
翌朝。
市九郎は昨日出かける前と何も変わらぬ様子で、
「いやぁ、すまねぇなぁ、足滑らして川に落ちちまってよ、ったくザマァねえよなぁ。お前がいなきゃ凍え死ぬとこだったぜ」
と笑いながら、昨日と同じ粥と魚を食べさせてくれた。
結局血の臭いのことは聞けなかった。
それから、一月程をその小屋で過ごす。市九郎が出て行けと言わずにそこに居るから、八尋も居る、という感じだった。
八尋は何をするでもなく、ただ、その辺を歩いて薪になりそうな小枝を拾い集めたり、栗や食べられる木の実を拾ったりしていた。
市九郎は時折ふらっと姿を消してはまた戻ってきた。
町で買い物をしてきたりもした。
そして、雪の降りそうな、本格的な冬を迎え、市九郎はアジトを移す、と言った。
市九郎は、拠点となる小屋をいくつか持っていて、季節などで使い分けているようだった。なぜ、冬になっても、夏用の小屋にいたのか、それは解らなかった。
市九郎は昨日出かける前と何も変わらぬ様子で、
「いやぁ、すまねぇなぁ、足滑らして川に落ちちまってよ、ったくザマァねえよなぁ。お前がいなきゃ凍え死ぬとこだったぜ」
と笑いながら、昨日と同じ粥と魚を食べさせてくれた。
結局血の臭いのことは聞けなかった。
それから、一月程をその小屋で過ごす。市九郎が出て行けと言わずにそこに居るから、八尋も居る、という感じだった。
八尋は何をするでもなく、ただ、その辺を歩いて薪になりそうな小枝を拾い集めたり、栗や食べられる木の実を拾ったりしていた。
市九郎は時折ふらっと姿を消してはまた戻ってきた。
町で買い物をしてきたりもした。
そして、雪の降りそうな、本格的な冬を迎え、市九郎はアジトを移す、と言った。
市九郎は、拠点となる小屋をいくつか持っていて、季節などで使い分けているようだった。なぜ、冬になっても、夏用の小屋にいたのか、それは解らなかった。