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残像
第5章 陽炎
浮き出た筋が唇に引っかかる。
巧みに舌を使い、しゃぶりつく。

「んぁ…あ、あぁ…」

市九郎の口から悩ましい吐息が漏れる。

八尋は嬉しくなり、咥え込んだまま、強く吸ってみる。

「…あっ‼︎」

市九郎が飛び起きると、八尋が己の足元にうずくまって、一心に己のモノをしゃぶっている。
驚きのあまり、市九郎は言葉も出なかった。

「頭領、お目覚めですか…おはようございます」

上目遣いで笑いかけると、

「何やってんだお前っ⁉︎」

市九郎が飛び退くように起きた。

「何とは…尺ですが。苦しそうでしたので、一度抜いておかれた方が。」

「ンなこと誰がしろっつった⁉︎余計なことすんな‼︎こんなモンほっときゃ治るよ!」

「…ですが…」

「でももだってもねぇ!離れろ‼︎ 俺はこんなことさせる為にお前拾ったんじゃねぇ‼︎」.

八尋はしょんぼりと項垂れた。

あまりの落ち込みように市九郎も一瞬怯んだが、それでもそこは譲れなかった。



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