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残像
第5章 陽炎
本気でヤバかった…夢うつつの状態で、何故か馴染みの遊女に尺をされている夢を見て…悪くねぇな、などと思いながら、ふと目が覚めた。

もう少し起きるのが遅かったら確実に抜かれていた。
それ位、良かったのだ。
あの小屋で凍えた時、着物を脱がせながら首筋から鎖骨を舐められた時も感じたが、八尋の舌は並じゃねぇ…
舌も唇もぽってりと肉厚で柔らかく、水気も多い。
吸い上げられた時の快感は下手な女を抱くよりずっと良かった。
思い止まったのは、市九郎の理性だった。
市九郎にも欲はある。
むしろ欲は強い方だ。
だが…
コイツは男だ。
タマがねぇっつったトコで、オンナになったわけじゃねぇ。女の代わりをさせる訳にはいかなかった。
八尋が女だったら、一も二もなく抱いていただろう。
…もっと早く。
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