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残像
第5章 陽炎
市九郎は、八尋に何も求めることなく。
働けば働いた分だけ分け前をくれた。金など要らない、貴方の役に立ちたいだけです、と言ったら、

「金はあって困るもんじゃねぇ。今要らねぇなら置いとけ。先で役に立つこともある。俺の役に立ちたいと思うなら、さっさと一丁前になって見せろ。俺なんかいなくても一人で何やったって生きていける。そうなって初めて一丁前ってんだ。お前が一丁前になって俺から笑って離れていくことが一番の恩返しだよ。」

市九郎はそう言って笑った。
市九郎から離れることが恩返しだと言われても。
八尋は離れたくなかった。
火の粉除けでもいいから、市九郎の傍に置いてほしい。
そういうと

「別にお前を邪魔に思ってるわけじゃねぇ、勘違いすんな。今のお前は歩き始めた餓鬼みてぇなもんだ。独り立ちできるまではここにいりゃいい。一人前になって、離れたいと思ったら出ていきゃあいい、って言ったんだ。」

今しばらくは置いてもらえるということか…
市九郎の邪魔にならぬよう励もう、と八尋は思った。

そうして市九郎に拾われ二年が過ぎる。


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