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残像
第5章 陽炎
新しい仲間も増えた。
盲目の青年、鷺。
市九郎が彼を連れて来た時、その覇気のなさは以前の己に通じるものがあった。
全てをあきらめたような態度。
やはり、市九郎はそういう人間を放っておけないのだ。
この人自身が生きる力の塊のような人だから。
生きていく望みを持ち、術を知れば、生きていける。市九郎はそういった。
先に望みがあるなら汗水たらして働くのも悪かねぇ。ヒトなんてなぁ何やったって生きようと思えば生きられんだ。生きるってな楽しいって事を、俺が教えてやる。

そうか…望みがなかったから。
望みを持つことなど許されなかったから、己の行く先は真っ暗に見えたのだ。生きて、いなかったのだ。
鷺もまた、同じなのだろう…
鷺は目こそ見えなかったが、耳と勘の良さは特別で、鼻もいいし頭の回転も速かった。
見えない目を幾度も瞬かせ、あちこち振り仰いで考え、突飛もない作戦を立てて八尋や市九郎を驚かせることもあったが、中の情報をもう少し探れば何とかなりそうな時もあった。
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