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残像
第5章 陽炎
八尋の考えは上手くいった。
中に潜り込めば外から嗅ぎまわるよりずっと短時間で屋敷の情報が手に入る。

そんな時、八尋は番頭に目を付けられる。
部屋に呼ばれ、目的がばれたか、と一瞬冷たい汗が出たが、そうではなかった。

番頭は、八尋に手を出そうとしただけだった。
八尋は悟り、しなを作って うふっと微笑む。

「着物を脱ぐのは嫌なンです。見られたくない傷があるから…」

そういって番頭にすり寄り、自ら首に腕を絡ませ、口に吸いつき、首筋、鎖骨に舌を這わせる。
着物を割るように間に膝を入れると、下はもう熱く猛っているのが感じられた。
膝でくい、と股間に触れ、八尋は番頭の耳元で妖しく囁く。

「ねェ、旦那…黙ってアタシの望み、叶えてくれるなら…アンタの、この熱、鎮めてさしあげましょう…」

片手で優しく下帯のあたりを撫でまわし、弱い部分につぅっと指先を這わせる。
その間も、舌は首筋と耳元を舐め上げ、耳にふぅっと息を吹きかけた。

番頭の喉がゴクリと音を立てた。

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