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残像
第6章 初恋
赤猫は、幼い頃に、火事で家族を失い、以来一人で生きてきた、と言っていた。
子供の頃から世俗と切り離されたせいか、心根が、澄んでいる。
初めて、美しいと。
触れたいと思った女は、
大恩ある市九郎の情婦であった…
元より、男の身体を持たぬ己が、女に惹かれたところで何もできぬ。
結ばれることなど、望むべくもない。
この想いは、墓まで持っていく、淡いもの。
こんな想いを、知ることが出来ただけでも幸せだ、と思った。誰かに恋をすることなど、昔は想像も出来なかった。
生きていればこそ、知り得る想いだった…
子供の頃から世俗と切り離されたせいか、心根が、澄んでいる。
初めて、美しいと。
触れたいと思った女は、
大恩ある市九郎の情婦であった…
元より、男の身体を持たぬ己が、女に惹かれたところで何もできぬ。
結ばれることなど、望むべくもない。
この想いは、墓まで持っていく、淡いもの。
こんな想いを、知ることが出来ただけでも幸せだ、と思った。誰かに恋をすることなど、昔は想像も出来なかった。
生きていればこそ、知り得る想いだった…