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残像
第6章 初恋
赤猫は筋が良く、手裏剣もすぐに覚え、仕事に加わった。

八尋は赤猫と共に動く事が多く、市九郎からも、赤猫を守れと命じられていた。

言われずとも、市九郎の情婦であり、己の想い人でもある赤猫を危険に晒すつもりなどなかった。
この身を盾にしてでも守る。
言葉には出さずとも、そう決めていた。

仕事が終わると、赤猫は市九郎の家に戻る。

市九郎と八尋は鷺と、もう一人の仲間である兵衛の待つ家で、稼ぎの分配をする。

鷺より少し後に仲間に入った兵衛という男は、大きな声で豪快に笑う、酒好きの男だった。

市九郎の呑み仲間にして、鷺の話し相手。兵衛が来てから、鷺の突飛な作戦が、兵衛の助言により随分現実的になった。暴れ馬の手綱引きだ、と市九郎が陰で笑い、八尋も言い得て妙だ、と笑った。
物知りで、医術の心得だけでなく、様々なことに見識があり、頼れる男だった。
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