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残像
第7章 別離
アジトに帰り着き、非番で家に居た赤猫に事の次第を伝える。

鷺と兵衛も異変を察してやってきた。
兵衛の指示に従い、処置に必要な物を集めて準備している時に、市九郎が運ばれてきた。

兵衛は懸命に処置を施したが、撃たれた場所が脇腹で、止血が出来ないまま、戸板に乗せて走ったためか、流れた血の量が多かった。

処置と仲間の祈りの甲斐もなく、明け方、市九郎は息を引き取った。

市九郎に助け出されてからの十五年が、走馬灯のように蘇り、涙を止められなかった。

赤猫は市九郎の手を握ったまま。

鷺も、兵衛も泣いた。
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