この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
残像
第7章 別離
市九郎が、今際の際に口にしたのは、赤猫に子を産ませてやれなかったことへの謝罪だった。
鷺は察するところがあったようで。
赤猫が市九郎の子を孕んだものの、市九郎が産むことを認めず降ろした事実、市九郎がそれを気に病んで、足を洗って赤猫と所帯を持とうとしていたのではないか、という推察を述べた。
八尋にとっては初耳だったが、鷺の推察は市九郎の行動とも、市九郎が赤猫に残した言葉とも、いちいち符号があっていた。
市九郎が、足を洗おうとしていた…
己を捨てて。
なぜ、教えてくれなかったのだろう…
そんなに思い悩んでいたのなら、一言くらい教えてほしかった。
もう、お前らは重荷だと。
俺は赤猫と生きて行くんだ、と…
だが一方で、市九郎がそんな手前勝手な言い分で仲間を切り捨てられないだろうことも知っていた。
その為に思い悩んだであろうことも。
鷺は察するところがあったようで。
赤猫が市九郎の子を孕んだものの、市九郎が産むことを認めず降ろした事実、市九郎がそれを気に病んで、足を洗って赤猫と所帯を持とうとしていたのではないか、という推察を述べた。
八尋にとっては初耳だったが、鷺の推察は市九郎の行動とも、市九郎が赤猫に残した言葉とも、いちいち符号があっていた。
市九郎が、足を洗おうとしていた…
己を捨てて。
なぜ、教えてくれなかったのだろう…
そんなに思い悩んでいたのなら、一言くらい教えてほしかった。
もう、お前らは重荷だと。
俺は赤猫と生きて行くんだ、と…
だが一方で、市九郎がそんな手前勝手な言い分で仲間を切り捨てられないだろうことも知っていた。
その為に思い悩んだであろうことも。