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残像
第2章 記憶
何年前になるのだろう…

遠い昔のような気もするし、さほど経っていないような気もする。

そもそもまだ生まれて十二年しか経っていないのだから、そんな遠い過去のことではないはずだった。
暑い時期と寒い時期を二、三度超えただろうか。

初めて、それを見せられた時、それが何をするものなのか八尋には見当もつかなかった。

座長がふいごの様な器具と湯を張った桶を持ってきた。
乱暴に四つん這いにされ、着物を捲られて尻に何かを入れられた。
痛みと圧迫感。
ろくに食事も与えられていないのに、腹が充満していく感覚。
苦しさが頂点に達した時、体勢を変えられた。
湯の入った桶にまたがるような姿勢で、決壊を迎える。
桶の中にすべてぶちまけ、それでも尚、それが何を意味するのかは分からなかった。

「お前も今日から客を取るんだ」

座長にそう言われたが、その意味も分からなかった。
そして、尻に何かぬるぬるしたものを塗られる。
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