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残像
第2章 記憶
客を取る。

それは金と引き換えに、抱かれることを意味した。
八尋の住処でもある旅芸人の一座。

旅芸人というものは、各地を回りながら、曲芸を披露して路銀を稼ぐ。が、大衆へのそれであれば見料とてさほど高くもないし、いつも満席というわけでもない。
移動にも金がかかる。
だから、当然それだけでは食うては行けぬ。
稼ぎのほとんどは、夜、芸人たちが廓の娼妓のように身体を売った稼ぎだった。

それには男も女もない。

ただ、望まれるままに客に身体を売る。

女芸人が取るのは男の客だったが、男芸人の場合は男も女もいた。

男が男に抱かれる時には、尻の穴から湯を注ぎ、腹の中を洗っておく必要があった。
そうしておかないと出てくるのだそうだ。
女はしなくても良いらしい。が、女は終わった後に腹の中を洗う。それをせねば孕むことがあるからだ。

男に買われた男芸人は、慣れると自分で腹の中を洗う。
器用にふいごを使って湯を入れ、厠で中身を出す。


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