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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第23章 【二十三話】わがままなお嬢さま
     □ ■ □

 お昼過ぎに寝室に連れ込まれ、気がついたら窓から差し込む明かりがずいぶんと色づいていた。
 それを見た景臣は顔を上げ、ようやく玲那から離れた。

「少し休憩したら、夕食を摂りに行きましょう」
「……はい」

 返事をしたら、思っていた以上に喉がかれていた。

「ずいぶんと喘いでいましたよね」
「それは……!」
「あなたも本当に困った人だ。俺が与えた快感以上を要求してくるのだから」

 違うと首を振ったが、景臣は呆れたように玲那を見下ろしていた。

「あなたを堕とすのは難しいようだ」

 玲那としてみれば、とっくに景臣に恋に落ちているというのに、これ以上、なにを求められているのか分からない。
 ここは好きだと伝えればいいのだろうか。

「ここ……と、ここ」
「ひゃんっ」

 景臣の長い指が玲那の素肌を滑るようにして撫でていく。

「あなたの白い肌に、俺が付けた印」

 そういって、景臣はうっとりとした表情で玲那に付けたキスマークをなぞった。それだけの行為にも関わらず、景臣に徐々に慣らされ始めた玲那の身体は、次に訪れるかもしれない快楽に震えた。

「撫でただけで乳首が立ってる」

 景臣はそう言って、ピンッと指先で弾いた。玲那の身体はびくんと跳ねた。

「まだ足りない?」
「や……ちがっ」
「違わないでしょう。本当にあなたという人は、俺の想像以上だ」

 景臣の顔が近づいてきて、耳元で甘い声で囁かれた。

「それでこそ、堕とし甲斐がある」

 首筋に口づけられた後、さらに続けられるのかと思ったら、離れていった。拍子抜けしてしまっている自分に気がついた玲那は、恥ずかしくなった。
 恥ずかしいけれど、景臣にもっと触れて欲しいと思っているのは、淫乱なのかもしれない。でも、好きな人に淫らな触れ方でもされると嬉しい──。
 ……なんてことを玲那が考えているなんて、きっと思ってもいないだろう景臣は、いつもの事務的な物言いに戻っていた。

「先にシャワーを浴びてきてください」
「……はい」
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