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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第25章 【二十五話】貪欲な身体
□ □ ■
早く寝たせいなのか、玲那はふと夜中に目が覚めた。
ぼんやりとしながら部屋を見回すと、薄暗い中、ベッドの反対側にだれかの背中──どう考えても景臣のものだ──が見えた。
ここにともに暮らすことになったのだから、景臣がそうやって寝ているのは当たり前なのだが、どうしてだろう、玲那はどきっとした。
人間なのだから、ご飯も食べるし、眠る。だけどどうしてだろう。景臣はそういった通常生活からほど遠いところに生きているように思っていたことに気がついた。
この関係になる前は、景臣はいつご飯を食べているのだろうと疑問に思うほど、景臣がなにかを飲み食いしている姿を見た覚えがない。しかし、ここに来てから何度か、一緒にご飯を食べたというのに──どうしてだろう、景臣が食べている姿が思い出せない。
とそこで、玲那は自分がご飯に夢中で、景臣のことを見ていなかったことに気がついた。
道弘が生きていた時、景臣のことを知ることを自ら止めていた。だけどもう、そんな制限はないというのに、そのときの癖がずっと続いてしまっている。
好きな人のことをなにひとつ知らない。
今まで玲那はずっと、なにごとも受け身だった。
きっとこのまま受け身であっても困りはしないだろうが、果たして、それでいいのだろうか。
もっと景臣のことを知りたい。近づきたい。
玲那から近づかない限り、景臣はこれ以上、距離を縮めてこないだろう。
それならば、玲那から近寄っていくしかない。
このままずっと、受け身でいいのだろうか。
──いや、駄目だ。
景臣はまだ、なにかを隠している。玲那はそれを知りたい。それを暴くには、玲那から近寄っていく必要がある。
まず手始めに、玲那に遠慮するように端に眠っている景臣の身体にすり寄り、背中に手を伸ばした。
玲那が触れた途端、景臣の身体がびくりと震え、飛び起きた。
一瞬の間。
「あ……ご、ごめんなさい」
早く寝たせいなのか、玲那はふと夜中に目が覚めた。
ぼんやりとしながら部屋を見回すと、薄暗い中、ベッドの反対側にだれかの背中──どう考えても景臣のものだ──が見えた。
ここにともに暮らすことになったのだから、景臣がそうやって寝ているのは当たり前なのだが、どうしてだろう、玲那はどきっとした。
人間なのだから、ご飯も食べるし、眠る。だけどどうしてだろう。景臣はそういった通常生活からほど遠いところに生きているように思っていたことに気がついた。
この関係になる前は、景臣はいつご飯を食べているのだろうと疑問に思うほど、景臣がなにかを飲み食いしている姿を見た覚えがない。しかし、ここに来てから何度か、一緒にご飯を食べたというのに──どうしてだろう、景臣が食べている姿が思い出せない。
とそこで、玲那は自分がご飯に夢中で、景臣のことを見ていなかったことに気がついた。
道弘が生きていた時、景臣のことを知ることを自ら止めていた。だけどもう、そんな制限はないというのに、そのときの癖がずっと続いてしまっている。
好きな人のことをなにひとつ知らない。
今まで玲那はずっと、なにごとも受け身だった。
きっとこのまま受け身であっても困りはしないだろうが、果たして、それでいいのだろうか。
もっと景臣のことを知りたい。近づきたい。
玲那から近づかない限り、景臣はこれ以上、距離を縮めてこないだろう。
それならば、玲那から近寄っていくしかない。
このままずっと、受け身でいいのだろうか。
──いや、駄目だ。
景臣はまだ、なにかを隠している。玲那はそれを知りたい。それを暴くには、玲那から近寄っていく必要がある。
まず手始めに、玲那に遠慮するように端に眠っている景臣の身体にすり寄り、背中に手を伸ばした。
玲那が触れた途端、景臣の身体がびくりと震え、飛び起きた。
一瞬の間。
「あ……ご、ごめんなさい」