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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第29章 【二十九話】人の命の儚さ
□ ■ □
火が入れられて遺骨になるまでは一時間以上掛かると言うことだったので、四人は斎場内にある休憩スペースへと移動した。
火葬炉では何組かいたけれど、ここには玲那たち以外だれもいないようだった。
景臣が自動販売機でペットボトルのお茶を買ってきてくれた。手渡されたのは温かく、ホッとした。
そこで知らない間に緊張していたことに気がついた。
「それにしても」
と景臣の父が口を開いた。
「葬式は淋しいものだな」
「伯父さん、楽しい葬式はそれはそれで怖くない?」
「それはまあ、そうだが。なんというか、人の命の儚さを感じるよ」
生きるのは大変なのに、死ぬのはあっという間だ。
玲那はそのことを実感して、手のひらの中のペットボトルをきゅっと握りしめた。
「まあ、それはそれで。玲那さん」
いきなり名を呼ばれ、玲那は弾かれたように顔を上げた。
「生活はどうかね? 景臣はきちんとやっているか?」
どうかと聞かれてもかなり困る。
「不自由はしてないかい? 足りないものがあれば、遠慮なく言ってほしい」
「……はい、ありがとうございます」
そうありきたりの言葉を返すことしかできなかった玲那に、小牧はすぐに気がついたようだ。
「伯父さん、そんな聞き方しても玲那さんは答えないよ」
「ほう? それでは、どう聞けばいいのかね」
嫌な予感しかしなかったが、玲那には小牧の言葉を止める術はない。
肩を竦めて小さくなっていると、小牧にくすりと笑われた。
「すごいね、あの短時間でぼくの性格を見抜くなんて」
「……あれだけ普段の姿を全開にされたら、だれでも身構える」
「へー、景臣もなんだ」
「俺は諦めている」
火が入れられて遺骨になるまでは一時間以上掛かると言うことだったので、四人は斎場内にある休憩スペースへと移動した。
火葬炉では何組かいたけれど、ここには玲那たち以外だれもいないようだった。
景臣が自動販売機でペットボトルのお茶を買ってきてくれた。手渡されたのは温かく、ホッとした。
そこで知らない間に緊張していたことに気がついた。
「それにしても」
と景臣の父が口を開いた。
「葬式は淋しいものだな」
「伯父さん、楽しい葬式はそれはそれで怖くない?」
「それはまあ、そうだが。なんというか、人の命の儚さを感じるよ」
生きるのは大変なのに、死ぬのはあっという間だ。
玲那はそのことを実感して、手のひらの中のペットボトルをきゅっと握りしめた。
「まあ、それはそれで。玲那さん」
いきなり名を呼ばれ、玲那は弾かれたように顔を上げた。
「生活はどうかね? 景臣はきちんとやっているか?」
どうかと聞かれてもかなり困る。
「不自由はしてないかい? 足りないものがあれば、遠慮なく言ってほしい」
「……はい、ありがとうございます」
そうありきたりの言葉を返すことしかできなかった玲那に、小牧はすぐに気がついたようだ。
「伯父さん、そんな聞き方しても玲那さんは答えないよ」
「ほう? それでは、どう聞けばいいのかね」
嫌な予感しかしなかったが、玲那には小牧の言葉を止める術はない。
肩を竦めて小さくなっていると、小牧にくすりと笑われた。
「すごいね、あの短時間でぼくの性格を見抜くなんて」
「……あれだけ普段の姿を全開にされたら、だれでも身構える」
「へー、景臣もなんだ」
「俺は諦めている」