この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第3章 【三話】『生きる』意味
玲那の居場所は、父と母が望む場所と、むかしから決まっていた。だからこそ、二人がぜひにと言う道弘の元へ嫁ぐのも承諾した。
玲那にとって『生きる』とは、自分の中に流れる筒宮の血を後世につなぐためでしかなかった。そこに『愛』や『恋』なんて、不確かで甘ったるい感情は必要ないと、景臣に出逢うまでは思っていた。
玲那という存在は、筒宮の血を次の世代へ伝えていく器でしかなかった。器には感情などない。必要ない。
命を脅かされない場所であれば、玲那にとってそれはどこでも一緒だった。だから玲那は今まで、自分がどこかに行きたいとも思ったことはなかったし、考えたこともなかった。
そんな玲那だが、景臣と知り合って、ひとつだけ分かったことがある。
玲那にとって、確かに場所はどこでもよくて、それよりも、そこにはだれといるのかということが重要だと知ったのだ。だから、どんな場所であろうと、景臣が側にいてくれれば耐えられる。
──そこまで考えて、玲那は首を振った。
そんなことない。
道弘は死んでしまったが、もしも昨日、道弘が死んでなければ、玲那は今頃……。
その先を想像して、耐えられそうになかった。
叫びそうになるのを唇を噛みしめて、耐えた。膝の上に乗せていた拳をさらにきつく握りしめた。
さらには。
道弘には申し訳ないが、昨日、死んでくれてよかった。
玲那にとって『生きる』とは、自分の中に流れる筒宮の血を後世につなぐためでしかなかった。そこに『愛』や『恋』なんて、不確かで甘ったるい感情は必要ないと、景臣に出逢うまでは思っていた。
玲那という存在は、筒宮の血を次の世代へ伝えていく器でしかなかった。器には感情などない。必要ない。
命を脅かされない場所であれば、玲那にとってそれはどこでも一緒だった。だから玲那は今まで、自分がどこかに行きたいとも思ったことはなかったし、考えたこともなかった。
そんな玲那だが、景臣と知り合って、ひとつだけ分かったことがある。
玲那にとって、確かに場所はどこでもよくて、それよりも、そこにはだれといるのかということが重要だと知ったのだ。だから、どんな場所であろうと、景臣が側にいてくれれば耐えられる。
──そこまで考えて、玲那は首を振った。
そんなことない。
道弘は死んでしまったが、もしも昨日、道弘が死んでなければ、玲那は今頃……。
その先を想像して、耐えられそうになかった。
叫びそうになるのを唇を噛みしめて、耐えた。膝の上に乗せていた拳をさらにきつく握りしめた。
さらには。
道弘には申し訳ないが、昨日、死んでくれてよかった。