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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第3章 【三話】『生きる』意味
 そんな感情が浮かんできたことに、玲那は慌てて首を振った。
 人が死んで、よかっただなんて……。
 これでは玲那が道弘を殺してしまったようなものではないか。
 もちろん考えただけで人が死んでしまうなんてことはあり得ないのだろうけれど、だけど玲那は心の奥底で、道弘に死んで欲しいと願っていなかっただろうか。玲那が心の奥で願っていたことをだれかが……。
 いや、そんな都合がいいことが起こるなんて、あり得ない。
 そもそもが殺人というのは、大変重たい罪だ。
 たとえ玲那が無意識のうちに心の奥底から道弘に死んで欲しいと願っていたとしても、玲那に変わって道弘を殺してくれるなんてことはない。
 だけどと、玲那は思う。
 道弘が部屋に戻ってきてすれ違ったとき、不自然な鉄臭さに玲那は違和感を覚えた。
 あの時の玲那はそれがなにであるかなんて考えなかったし、考えて答えを出していたとしても、どうしてそういう状況になったのか分からず、違うとすぐに否定していたと思う。
 でも……。
 あのとき、道弘から鉄臭さを嗅いだ後、血の臭いだとすぐに分かって適切な対応を取っていたら、道弘はもしかして死ななかったかもしれない。やはり道弘にとどめをさしたのは玲那のような気がする。
 そう思ったら玲那は耐えられず、スカートを握りしめながら口を開いた。

「もしもあのとき」
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