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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第34章 【三十四話】嘘とほんと
そう言って、小牧は口を閉ざした。
惣一郎を見ると、苦しそうに眉間にしわを寄せていた。
「事件が起こって……そこからだね、景臣が変わったのは」
「……事件?」
「うん。景臣は素直でかわいかったけれど、でも、矛盾しているように聞こえるかもしれないけれど、今と同じくかなり警戒心は強かったんだよ」
だけどね、と小牧は続ける。
「素直ゆえに、一度、仲間だと認めた相手にはとことん従順で、言われたことをそのまま受け入れるところがあったんだ」
「……そこが駄目だとオレもよく言い聞かせていたんだが」
といきなり、景臣の声によく似ているけれど、違う声が割って入って来た。
「あ、泉生」
「いきなり割って入って申し訳ない。景臣を見かけたから、玲那さんも来ていると思って来たんだが」
そう言いながら入室してきたのは、景臣よりもさらに鋭い眼光をした男性だった。玲那はちょっと怖くて微妙に後ずさりをした。
「初めまして、十朱泉生、景臣の兄です」
「は……初めまして、筒宮玲那、です」
そういって泉生が手を差し出してきたので、玲那は躊躇しつつも手を差し出したが、小牧に遮られた。
「泉生、やめておいた方がいいよ」
「ん、どうして?」
「あの景臣が伯父さん相手にも玲那さんを隠そうとしたくらいだよ? 触ったら殺されるね」
「……そうか。それならば止めておこう」
今までの話を聞いている限りでは、泉生はかなり厳しい人という印象であったのだが、話してみると、景臣よりも人当たりがいいような気がした。どちらかというと小牧と同じような感じがする。
「ということは、景臣は玲那さんにずいぶんと気を許しているのか」
あれで気を許しているというのだろうか。
玲那はとてもそう思えなくて首を振った。
「あの神経質な景臣が玲那さんと一緒に暮らしてるらしいから、かなり気を許していると思うよ」
「なんだ、あいつも手が早いな。最近、家にいる気配がしないのはそういうことか」
惣一郎を見ると、苦しそうに眉間にしわを寄せていた。
「事件が起こって……そこからだね、景臣が変わったのは」
「……事件?」
「うん。景臣は素直でかわいかったけれど、でも、矛盾しているように聞こえるかもしれないけれど、今と同じくかなり警戒心は強かったんだよ」
だけどね、と小牧は続ける。
「素直ゆえに、一度、仲間だと認めた相手にはとことん従順で、言われたことをそのまま受け入れるところがあったんだ」
「……そこが駄目だとオレもよく言い聞かせていたんだが」
といきなり、景臣の声によく似ているけれど、違う声が割って入って来た。
「あ、泉生」
「いきなり割って入って申し訳ない。景臣を見かけたから、玲那さんも来ていると思って来たんだが」
そう言いながら入室してきたのは、景臣よりもさらに鋭い眼光をした男性だった。玲那はちょっと怖くて微妙に後ずさりをした。
「初めまして、十朱泉生、景臣の兄です」
「は……初めまして、筒宮玲那、です」
そういって泉生が手を差し出してきたので、玲那は躊躇しつつも手を差し出したが、小牧に遮られた。
「泉生、やめておいた方がいいよ」
「ん、どうして?」
「あの景臣が伯父さん相手にも玲那さんを隠そうとしたくらいだよ? 触ったら殺されるね」
「……そうか。それならば止めておこう」
今までの話を聞いている限りでは、泉生はかなり厳しい人という印象であったのだが、話してみると、景臣よりも人当たりがいいような気がした。どちらかというと小牧と同じような感じがする。
「ということは、景臣は玲那さんにずいぶんと気を許しているのか」
あれで気を許しているというのだろうか。
玲那はとてもそう思えなくて首を振った。
「あの神経質な景臣が玲那さんと一緒に暮らしてるらしいから、かなり気を許していると思うよ」
「なんだ、あいつも手が早いな。最近、家にいる気配がしないのはそういうことか」