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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第37章 【三十七話】交渉
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 玲那が退院したあと、忙しい惣一郎が玲那の様子をうかがうために時間を作ってくれたので外で会った。その時、景臣はあまりいい顔をしなかったのだが、惣一郎に会って、話をしてどうしてだかわかった。
 玲那の様子うかがいとは建前で、相続についての確認事項が主だった。
 惣一郎は道弘に指名された以上、仕事であるのだから当たり前なのだが、ビジネスライクな対応に、戸惑いを覚えた。
 玲那が戸惑っているのは惣一郎にもわかったようで、話の途中でそのことについて謝ってきたのだが、そう言われてしまうと、逆につらい気持ちになった。惣一郎はそのことが分かっているのだろうか。
 もしかしたら景臣がこんなにも拗らせてしまったのは、惣一郎のこういった態度もあるのではないだろうか。
 とはいえ、玲那もあまり口数が多いほうではないし、話し上手ではないし雑談を苦手としていたので、ここまできたら、冷徹に徹してほしかったというのが本音だ。
 中途半端に優しさを向けられると、対応に困る。

「あの……わたしは結局、道弘さまとは赤の他人のままですし……道弘さまのご要望にもお応えできなかった立場ですから、その……指名されていたとはいえ、いただいてもいいのかどうか……」

 確認というのは、道弘の遺産を相続するのか否かの意思確認。
 実家のことを思えば少しでもお金があるのはうれしいのだが、しかし、今の玲那の両親にこれ以上の金銭を与えるのは危険ではないかという危惧があった。
 道弘の資産はかなりあり、それを全額、玲那に譲ると書いてあった。
 受けますとなると、金のにおいに敏感な両親のことだ。景臣と交わした契約を破棄して道弘から譲り受けた財産とともに帰って来いと平気で言ってきそうで怖い。
 いくら今、景臣との関係が悪化していても、玲那としては景臣のそばにいられる以上の幸せはないのだから、契約破棄はしたくない。
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