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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第39章 【三十九話】永久就職

だから思い切って玲那から景臣の名を呼んだのだが、景臣は今まで見たことのないくらい冷たい視線を向けてきた。
あの日から景臣は、玲那をずっと拒否してきていた。
でもそれは、一時的なものだと楽観的に思っていたのだが、違っていたようだ。
「お疲れでしょうから、今日はゆっくりと湯舟に浸かって、早めに寝てください」
「……は、い」
玲那の胸は握り潰されたかのようにきゅうっと強い痛みを感じたが、肩をすぼめてやり過ごした。
それからのろのろと靴を脱ぎ、真っ直ぐに脱衣所に向かった。
着替えるために戻ってきたとき、景臣が湯舟にお湯を張ってくれているのは知っていたので、玲那はありがたく浸かることにした。
明日、入籍すると景臣は言った。
それは予定どおり行うというのは分かったのだが──。
やはり玲那本人がほしいわけではなく、景臣が昔から願っていた『十朱の名を捨てる』ための道具にしか過ぎないということを改めて突きつけられた。
「あなたがほしいのは、わたしではない」
心の奥で思っていたことを口にしたら、辛すぎて涙があふれた。
つかもうとしても、それは指先からすり抜けていく。
いや、それは最初からなかったのだ。あると思っていたのは、玲那だけだった。
あの日から景臣は、玲那をずっと拒否してきていた。
でもそれは、一時的なものだと楽観的に思っていたのだが、違っていたようだ。
「お疲れでしょうから、今日はゆっくりと湯舟に浸かって、早めに寝てください」
「……は、い」
玲那の胸は握り潰されたかのようにきゅうっと強い痛みを感じたが、肩をすぼめてやり過ごした。
それからのろのろと靴を脱ぎ、真っ直ぐに脱衣所に向かった。
着替えるために戻ってきたとき、景臣が湯舟にお湯を張ってくれているのは知っていたので、玲那はありがたく浸かることにした。
明日、入籍すると景臣は言った。
それは予定どおり行うというのは分かったのだが──。
やはり玲那本人がほしいわけではなく、景臣が昔から願っていた『十朱の名を捨てる』ための道具にしか過ぎないということを改めて突きつけられた。
「あなたがほしいのは、わたしではない」
心の奥で思っていたことを口にしたら、辛すぎて涙があふれた。
つかもうとしても、それは指先からすり抜けていく。
いや、それは最初からなかったのだ。あると思っていたのは、玲那だけだった。

