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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第46章 【四十六話】『安全宣言』

だけどそこで、改めて、景臣は道弘殺しの犯人は多香枝ではないかと考えたという。
「だけど……やっぱり多香枝さんが社長を殺すメリットはないし、玲那に結婚をするのを止めるようにいう理由も思い当たらなかった。そこで、視点を変えてみたんだ」
「……視点?」
「多香枝さんはなにかを知っていた。だから玲那に社長と結婚するのを止めるように言ってきた。それでは、多香枝さんが知っている事実はなにか。……そこで、先ほどの腕時計が出てくる」
「腕時計」
景臣は自分の左手首をとんとん、と叩いた。
「憂佳がホテルに忘れた腕時計は、社長が憂佳の成人の祝いで特別に作らせたものだったらしい」
「特別製の腕時計ですか」
「あぁ。憂佳はそれをとても大切にしていたようだ。肌身離さずというのが大げさではないくらいだったという」
そんなにも大切な腕時計が、ある日を境にしていないことに多香枝は気がついたのだろう。
「ここから先は想像でしかない。多香枝さんは、憂佳の気持ちを知っていた。そして、戸籍上はともかく、実際は血の繋がりはまったくない。社長がそのことに気がついたと多香枝さんが知り、そして、娘の想いを成就させてやろうとして、玲那に結婚を取りやめるように言ってきた──と考えると、一連の多香枝さんの行動のつじつまが合う」
「でも」
「その時点では、すでに憂佳は行動済みだった。だけど多香枝さんはそれを知らなかったはずだ」
そうして、悲劇が起こる。
「憂佳は社長を殺した。多香枝さんはすぐに犯人がだれか分かったのだろう。そして次に狙われるのが、玲那だと気がつき──脅迫状を筒宮の屋敷に投げ込んだ」
「え、あれ……」
「指紋が検出されたんだよ、多香枝さんのね」
「だけど……やっぱり多香枝さんが社長を殺すメリットはないし、玲那に結婚をするのを止めるようにいう理由も思い当たらなかった。そこで、視点を変えてみたんだ」
「……視点?」
「多香枝さんはなにかを知っていた。だから玲那に社長と結婚するのを止めるように言ってきた。それでは、多香枝さんが知っている事実はなにか。……そこで、先ほどの腕時計が出てくる」
「腕時計」
景臣は自分の左手首をとんとん、と叩いた。
「憂佳がホテルに忘れた腕時計は、社長が憂佳の成人の祝いで特別に作らせたものだったらしい」
「特別製の腕時計ですか」
「あぁ。憂佳はそれをとても大切にしていたようだ。肌身離さずというのが大げさではないくらいだったという」
そんなにも大切な腕時計が、ある日を境にしていないことに多香枝は気がついたのだろう。
「ここから先は想像でしかない。多香枝さんは、憂佳の気持ちを知っていた。そして、戸籍上はともかく、実際は血の繋がりはまったくない。社長がそのことに気がついたと多香枝さんが知り、そして、娘の想いを成就させてやろうとして、玲那に結婚を取りやめるように言ってきた──と考えると、一連の多香枝さんの行動のつじつまが合う」
「でも」
「その時点では、すでに憂佳は行動済みだった。だけど多香枝さんはそれを知らなかったはずだ」
そうして、悲劇が起こる。
「憂佳は社長を殺した。多香枝さんはすぐに犯人がだれか分かったのだろう。そして次に狙われるのが、玲那だと気がつき──脅迫状を筒宮の屋敷に投げ込んだ」
「え、あれ……」
「指紋が検出されたんだよ、多香枝さんのね」

