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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第48章 【四十八話】離婚届
 できるだけ隠していたつもりだったのだが、隠せていなかったらしい。

「昨日、景臣さんに告白しました」
「なにっ」
「聞いていませんか?」
「……聞いてないけど、妙に荒れていたからなにかあったとは思ったけど。それで?」
「拒否されました」
「……あぁ、あいつ、馬鹿だ」
「え?」
「ま、いいや。それで、玲那さんはさすがに呆れて三行半を突きつけてやるといったところか」
「そういうわけではないですが、嫌われてるのにそばにいる理由がなくなりましたから」
「あー……。なんというか、うん、タイミング、悪いというか、なんというか」

 小牧は呆れたように空を見上げた後、玲那を見た。

「ま、あの馬鹿にはいいお灸だよ」
「そうなんですか?」
「ぼくも泉生も、景臣には甘いんだよ。だからあんまりきついことを言えないんだよね」
「昔のことがあるから、後ろめたいんですか」

 玲那の言葉に小牧は唸った。

「玲那さん、痛いところを突くね」
「そんなつもりはなかったんですが」
「あの出来事は、景臣を壊してしまった。あれがなければ、泉生さえも抜いて、ぼくたちの中で一番の出世頭になっていたはずなんだ。伯父さんも期待していただけに、ショックが大きかったみたいなんだよね」

 小牧は大きくため息をつくと、玲那を見た。

「玲那さんの経歴にバツがついちゃうのもあるし、お詫びの代わりに、婿探しをするのなら、十朱が全力で探すよ」
「……婿、ですか」
「筒宮はもう君一人でしょう? なくすわけにはいかないのなら、婿を探すのが筋でしょ」
「それなんですが」

 玲那はそこで区切り、少し考えてから口を開いた。

「景臣さん以上に愛せる人と巡り会えるとは思えないのです」
「……うん、大切な景臣をそこまで愛してくれるのは嬉しいけど、義理立てしなくていいよ、あんなヤツ」
「義理立てではなくて、次の人に申し訳なくて」
「優しいね、玲那さん。割り切ればいいのに」
「割り切れるほど、わたしは強くないですから」
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