この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第5章 【五話】ふたりの距離
玲那は今まで、自分のことを自分で考えて動いたことがなかった。さらにお金がかかる話ともなれば、玲那の一存で決められることではなかった。
そのことに景臣はすぐに気がついたようだった。
「玲那さん、心配は要りません。これからのお話に関しては、正文さまから委任状をいただいております。ですから、私にすべて任せていただいてよろしいでしょうか」
正文と景臣の間で、なにか話し合いが持たれたのは玲那は知っている。景臣は道弘の補佐をしていたというだけあり口が上手いが、しかし、正文が言葉だけで動くような性格ではないということも合わせて知っていた。
ということは、二人の間でなんらかのやりとりが行われ、そこで金銭が動いたというにおいだけははっきりと感じ取ったが、だからといって玲那はそのことに関して否定も肯定もしないし、できない。
父がお金にある意味、汚いからこそ今まで贅沢をして暮らしてこられた訳だし、そして今現在、お金がなくて大変困っているのだから、どういった手段であれ、手に入れなければならない状況である。
だから玲那は、父と共犯者だと理解していた。
「玲那さんはなにも心配することはありません」
「……そう、ですか」
人を信じない正文が景臣に委任状を託した。ということは、きっととんでもない金額が動いたのだろう。
玲那の認識では景臣は道弘の補佐役でしかないと思っていたのだけど、実は違っていたのだろうか。
玲那はちらりと景臣をうかがい見たが、やはりいつものように無表情で、分からなかった。
「……父が景臣さんにお任せしたのなら、わたしはそれに従うまでです」
「そうですか。それでしたら、まいりましょう」
玲那の答えを聞いた景臣の瞳に、一瞬だけ侮蔑の光が浮かんだのを玲那は見たが、気がつかなかったフリをした。
そのことに景臣はすぐに気がついたようだった。
「玲那さん、心配は要りません。これからのお話に関しては、正文さまから委任状をいただいております。ですから、私にすべて任せていただいてよろしいでしょうか」
正文と景臣の間で、なにか話し合いが持たれたのは玲那は知っている。景臣は道弘の補佐をしていたというだけあり口が上手いが、しかし、正文が言葉だけで動くような性格ではないということも合わせて知っていた。
ということは、二人の間でなんらかのやりとりが行われ、そこで金銭が動いたというにおいだけははっきりと感じ取ったが、だからといって玲那はそのことに関して否定も肯定もしないし、できない。
父がお金にある意味、汚いからこそ今まで贅沢をして暮らしてこられた訳だし、そして今現在、お金がなくて大変困っているのだから、どういった手段であれ、手に入れなければならない状況である。
だから玲那は、父と共犯者だと理解していた。
「玲那さんはなにも心配することはありません」
「……そう、ですか」
人を信じない正文が景臣に委任状を託した。ということは、きっととんでもない金額が動いたのだろう。
玲那の認識では景臣は道弘の補佐役でしかないと思っていたのだけど、実は違っていたのだろうか。
玲那はちらりと景臣をうかがい見たが、やはりいつものように無表情で、分からなかった。
「……父が景臣さんにお任せしたのなら、わたしはそれに従うまでです」
「そうですか。それでしたら、まいりましょう」
玲那の答えを聞いた景臣の瞳に、一瞬だけ侮蔑の光が浮かんだのを玲那は見たが、気がつかなかったフリをした。