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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第1章 【一話】死体との対面
*
道弘がシャワーに入ってくると言って三十分はもう経つだろう。シャワーの音が止まらない。
道弘はせっかちという印象があったが、シャワーは念入りに入る人なのだろうか。
それでもなんだかおかしい。
どうしようと悩んでいると、こんな時間だというのに部屋のチャイムが鳴った。
ここはホテルだ。この部屋に玲那と道弘が泊まっているのを知っている人物は、本日のことを知っているはずだ。だからよほどの用事がないかぎりはだれも訪ねてこないはずだ。まさか部屋を間違えたということもないだろう。
玲那はドアに近寄り、ドアスコープから外を覗き見た。
歪んだレンズの向こうに見えたのは、端正で冷淡な印象の顔の男だった。
「景臣(かげおみ)さん……?」
玲那のつぶやきがドアの向こうに聞こえたのか、男は口を開いた。
「社長は部屋にいらっしゃいますか」
社長とは道弘のことだ。
部屋にいるといえばいるが、シャワー室にこもったままだと伝えた方がいいのだろうか。
玲那が戸惑っていると、景臣は玲那の答えが返ってこないのはいないからだと思ったようだ。
「ここにもいらっしゃらないのですか」
『ここにも』とはどういうことなのだろうかという疑問が浮かんだが、それよりもいることを先に伝えた方がいいと気がつき、玲那は端的に答えを返した。
「あの、おります。今、シャワーを……」
そこまで口にして、玲那はシャワーを浴びた後のことを想像して言葉を濁してしまった。
そうだ、道弘がシャワーから上がってきたら、その先に待っているのは……。
そこまで考えて、玲那は恐ろしさのあまりに身体を震わせた。
道弘がシャワーに入ってくると言って三十分はもう経つだろう。シャワーの音が止まらない。
道弘はせっかちという印象があったが、シャワーは念入りに入る人なのだろうか。
それでもなんだかおかしい。
どうしようと悩んでいると、こんな時間だというのに部屋のチャイムが鳴った。
ここはホテルだ。この部屋に玲那と道弘が泊まっているのを知っている人物は、本日のことを知っているはずだ。だからよほどの用事がないかぎりはだれも訪ねてこないはずだ。まさか部屋を間違えたということもないだろう。
玲那はドアに近寄り、ドアスコープから外を覗き見た。
歪んだレンズの向こうに見えたのは、端正で冷淡な印象の顔の男だった。
「景臣(かげおみ)さん……?」
玲那のつぶやきがドアの向こうに聞こえたのか、男は口を開いた。
「社長は部屋にいらっしゃいますか」
社長とは道弘のことだ。
部屋にいるといえばいるが、シャワー室にこもったままだと伝えた方がいいのだろうか。
玲那が戸惑っていると、景臣は玲那の答えが返ってこないのはいないからだと思ったようだ。
「ここにもいらっしゃらないのですか」
『ここにも』とはどういうことなのだろうかという疑問が浮かんだが、それよりもいることを先に伝えた方がいいと気がつき、玲那は端的に答えを返した。
「あの、おります。今、シャワーを……」
そこまで口にして、玲那はシャワーを浴びた後のことを想像して言葉を濁してしまった。
そうだ、道弘がシャワーから上がってきたら、その先に待っているのは……。
そこまで考えて、玲那は恐ろしさのあまりに身体を震わせた。