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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第6章 【六話】十朱小牧という男
「それで確認するけれど、山浦氏とは籍は入れてないんだよね?」
「はい。式が終わって、新婚旅行から戻ってから入れるという話になっていました」
「それはどうして? なにか理由でも?」

 小牧に問われ、玲那は警察署でも聞かれたときにした説明を繰り返した。

「新婚旅行は式の次の日……つまり今日、海外に出発することになっていました。結婚するのが決まったのは道弘さまの都合で一ヶ月前でして、入籍は後からでも問題ないだろうという判断で後回しにされました」
「ほう?」

 玲那の答えに小牧は面白そうに目を細めた。

「式は急いだのに入籍は急がないってのは不思議だね」
「……わたしもそれは思いましたが、特に不都合はなかったので、言われるままに受け入れました」
「それに式を挙げたホテルも人気があるみたいだけど」
「なんでも、たまたま空きができたとかで……」
「あぁ、そういうことか。空きができたから無理矢理そこに式をねじ込んだ、と」
「……たぶんそうなのかと思います」

 玲那はそのあたりのことは両親に任せっきりだったので、詳細は分からないがたぶんそうなのだろう。

「しかし、山浦氏は再婚だよね?」
「とうかがっています」
「式をしようという話はどちらからしたのか分かる?」
「両親に任せっきりだったので、分かりません」
「ふぅん」

 小牧はいつの間にか玲那の斜め後ろに移動した景臣に視線を向けた。景臣は小牧の視線に小さくうなずきを返しただけだった。

「式は急だったにもかかわらず、出席者はかなり多かったらしいね。席次表を見せてもらったけれど、このご時世になかなか豪華な結婚式だったみたいだね」
「……たぶんそこは見栄っ張りな両親が道弘さまに無理を言ったせいだと思います」
「なるほど。筒宮家の関係者の方が多いのはそういうことだったのか」

 それで、と小牧は身を乗り出すと、にやりと笑みを浮かべて玲那を見た。

「で、かなりぶっちゃけた話を聞くけど、山浦氏とはセックス、したの、しなかったの?」
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