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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第6章 【六話】十朱小牧という男
 小牧の質問に玲那は目を見開き、顔を上げた。耳の端まで熱いということはかなり真っ赤な顔をしているのは分かったが、あまりのことにどう反応すればいいのかさっぱり分からない。
 小牧は人の悪い笑みを浮かべて興味深そうに玲那を見ていた。

「新婚初夜でしょ? ヤッたのか、ヤッてないのか、そこ、かなり重要だよね? しかもさ、山浦氏とあなた、かなりの歳の差でしょう? 山浦氏は下手したら次の日にも死んでしまうかもしれないわけだから、避妊なんて遠慮しないだろうし。ま、実際、次の日になる前に亡くなったわけだけど」
「小牧」
「生でヤッてたら、妊娠している可能性があるわけでしょう? まあ、コンドームしていても妊娠するときはするんだけどさ。入籍してなくても、そこはほら、今ならDNA検査でだれの子か分かるし、遺産関係の話も出てきて」
「小牧」
「なんだよ、景臣。重要なことだろう?」
「それでも、もっと聞き方ってものがあるだろう」
「このお嬢さん相手にまだるっこしい聞き方したって濁されるだけだろう? それに悠長に構えていられないんだし。かなり乱暴な聞き方をしたっていう自覚はあるけど、時間短縮のためだ」
「玲那さん、普通の弁護士はこんなひどい聞き方はしませんことを承知していただければと思います」
「……え、えぇ……」

 玲那は赤い顔をしたまま、戸惑いつつもそう答えた。

「今時珍しい深窓の令嬢を装っているけれど、実はビッチかもしれないし、結婚式を急いだのは山浦氏以外の人物とヤッちゃってできたのを誤魔化すためってのも可能性はあるし」
「そんなこと……!」
「ないの? ってことは処女?」
「…………っ!」

 これはさすがにひどいのではないだろうか。
 玲那は真っ赤になってぷるぷると震えていると、景臣が助け船を出してくれた。

「社長と結婚を前提にということで最初に顔合わせをしたのは、半年ほど前です」
「あれ、そうなのか。知り合って即結婚式ではないのか」
「違います」
「すでにそのときに妊娠が分かって……となると、もっと腹が大きくないとつじつまが合わないよな」
「小牧、そこはもういい」
「いやいや、大切なことだろう!」
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