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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第8章 【八話】脅迫状
どこまでも軽い物言いに、救われるどころか不安が募る。
玲那の気持ちを汲んでなのか、それとも手紙の中身を知っているからなのか、景臣の表情は気のせいか、いつもより険しい。
小牧は白い手袋を付けたまま、玲那によく見えるように四つ折りにされた中の紙を開いて見せた。
赤い紙は封筒と同じ質のもののようで、若干厚みがある。紙を開くと、封筒と同じように、わざとらしいくらいに荒々しく切り貼りされた文字の羅列。
玲那は声を上げて文言を読み上げた。
「あなたの命 ウバう」
今まで誘拐予告は何度か受け取ったことがあったが、殺人予告は初めてだった。
もっとショックを受けるかと思ったが、あまりにも日常とかけ離れた内容だったからか、それとも感覚が麻痺してしまっているからなのか。玲那はなにも感じなかった。
「それでさ、これを見たそこの男にも情ってものがあったのか、玲那さんを護衛するから契約書を作って欲しいって言うんだよ」
「契約書」
「こういうのはぼくの範疇ではないんだけどさ、おいそれとその辺の人に頼めないからってぼくに白羽の矢が立ったんだけど、ま、いうなればこの結婚、玲那さんが一方的に不利じゃない?」
「……そう、なのですか?」
「え、今までの話を聞いて、自分に不利だとまったく思わなかったの?」
「思わないどころか、わたしにそこまでの価値があるのかどうか、判断がつきません」
玲那の答えに、小牧は呆れたように目を丸くしたあと、景臣を見た。
「ちょっと景臣。急いで契約書を作ったけど、これ、もっと玲那さんに有利なように作り替えてもいい?」
「……………………」
「罵倒が返ってこないってことは、承諾したってことだね。うん、じゃあ、そのあたりのすりあわせをしながら契約しようか」
小牧は脅迫状を元通りに戻し、ビニール袋に丁寧に入れてファイルに挟むと手袋を取り、今度は別の紙を取りだした。
「急作りだから雑なんだけどさ」
玲那の気持ちを汲んでなのか、それとも手紙の中身を知っているからなのか、景臣の表情は気のせいか、いつもより険しい。
小牧は白い手袋を付けたまま、玲那によく見えるように四つ折りにされた中の紙を開いて見せた。
赤い紙は封筒と同じ質のもののようで、若干厚みがある。紙を開くと、封筒と同じように、わざとらしいくらいに荒々しく切り貼りされた文字の羅列。
玲那は声を上げて文言を読み上げた。
「あなたの命 ウバう」
今まで誘拐予告は何度か受け取ったことがあったが、殺人予告は初めてだった。
もっとショックを受けるかと思ったが、あまりにも日常とかけ離れた内容だったからか、それとも感覚が麻痺してしまっているからなのか。玲那はなにも感じなかった。
「それでさ、これを見たそこの男にも情ってものがあったのか、玲那さんを護衛するから契約書を作って欲しいって言うんだよ」
「契約書」
「こういうのはぼくの範疇ではないんだけどさ、おいそれとその辺の人に頼めないからってぼくに白羽の矢が立ったんだけど、ま、いうなればこの結婚、玲那さんが一方的に不利じゃない?」
「……そう、なのですか?」
「え、今までの話を聞いて、自分に不利だとまったく思わなかったの?」
「思わないどころか、わたしにそこまでの価値があるのかどうか、判断がつきません」
玲那の答えに、小牧は呆れたように目を丸くしたあと、景臣を見た。
「ちょっと景臣。急いで契約書を作ったけど、これ、もっと玲那さんに有利なように作り替えてもいい?」
「……………………」
「罵倒が返ってこないってことは、承諾したってことだね。うん、じゃあ、そのあたりのすりあわせをしながら契約しようか」
小牧は脅迫状を元通りに戻し、ビニール袋に丁寧に入れてファイルに挟むと手袋を取り、今度は別の紙を取りだした。
「急作りだから雑なんだけどさ」