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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第10章 【十話】変色した部屋
□ ■ □
ようやく自力で立てるようになった玲那は、ソファの向こう側を見て、絶句した。
コーヒーがかかったと思われる場所はまだらに変色したり、へこんだりしているのが一目で見えた。
もしもあの液体を避けないでかぶっていたら……と思うと、また身体が震えてきた。
これはいったい、だれの仕業だというのだ。
こんな惨状なので、この部屋から出て鍵をして、玲那は別室に案内された。だけどまた同じことがあるのではないかと思うと、落ち着かない。
そうやってそわそわしていると、警察がやってきて、ふたたびの事情聴取だ。
正直な話、勘弁してほしい。
先ほどまで玲那がいた部屋を見てきたらしい警察官は、玲那に詳しい経緯を聞きたいということで、話した。
「マスクとサングラス、帽子と白衣の見知らぬ女性と思われる人物がやってきて、無言で紙コップを押しつけてきたけれど、受け取らなかったらかけられそうになったから逃げた、と」
「……はい」
玲那の説明をまとめればそうなるし、間違いではないのだが、なんだか玲那がおかしな人になったような気分になるのはどうしてだろうか。
「私も見ました。怪しい人物がいたので話を聞こうとしたら、逃げられたので追いかけたのですが、捕まえられず」
「それで、その人物が脱ぎ捨てたというのがこの白衣ですか」
「はい」
どうやら景臣は、脱ぎ捨てられた白衣を回収していたようだ。
「液体の入っていたと思われる器と、それが乗っていたトレイも回収しました」
その後、玲那はいくつか質問を受けた後、思ったよりあっさりと解放された。
疲れていた玲那はほっとしたけれど、しかし、ここに来た理由を思い出し、どうしたものかと悩んでいると、小牧がやってきた。
「それで、契約の件なんだけど」
「はい」
「景臣がどうしても今日中にっていうから、もう少し、つき合ってもらってもいい?」
どうしてそんなに強引に進めようとしているのか、玲那には分からないが、しかし、景臣に頼らなければ玲那はここから帰ることが出来ない。だから同意することしかできなかった。
ようやく自力で立てるようになった玲那は、ソファの向こう側を見て、絶句した。
コーヒーがかかったと思われる場所はまだらに変色したり、へこんだりしているのが一目で見えた。
もしもあの液体を避けないでかぶっていたら……と思うと、また身体が震えてきた。
これはいったい、だれの仕業だというのだ。
こんな惨状なので、この部屋から出て鍵をして、玲那は別室に案内された。だけどまた同じことがあるのではないかと思うと、落ち着かない。
そうやってそわそわしていると、警察がやってきて、ふたたびの事情聴取だ。
正直な話、勘弁してほしい。
先ほどまで玲那がいた部屋を見てきたらしい警察官は、玲那に詳しい経緯を聞きたいということで、話した。
「マスクとサングラス、帽子と白衣の見知らぬ女性と思われる人物がやってきて、無言で紙コップを押しつけてきたけれど、受け取らなかったらかけられそうになったから逃げた、と」
「……はい」
玲那の説明をまとめればそうなるし、間違いではないのだが、なんだか玲那がおかしな人になったような気分になるのはどうしてだろうか。
「私も見ました。怪しい人物がいたので話を聞こうとしたら、逃げられたので追いかけたのですが、捕まえられず」
「それで、その人物が脱ぎ捨てたというのがこの白衣ですか」
「はい」
どうやら景臣は、脱ぎ捨てられた白衣を回収していたようだ。
「液体の入っていたと思われる器と、それが乗っていたトレイも回収しました」
その後、玲那はいくつか質問を受けた後、思ったよりあっさりと解放された。
疲れていた玲那はほっとしたけれど、しかし、ここに来た理由を思い出し、どうしたものかと悩んでいると、小牧がやってきた。
「それで、契約の件なんだけど」
「はい」
「景臣がどうしても今日中にっていうから、もう少し、つき合ってもらってもいい?」
どうしてそんなに強引に進めようとしているのか、玲那には分からないが、しかし、景臣に頼らなければ玲那はここから帰ることが出来ない。だから同意することしかできなかった。