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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第1章 【一話】死体との対面
そして結婚式の準備が始まり、そしてようやく玲那は『結婚とはなにか』ということを実感しはじめた。
結婚するということはつまり、家族になるということだ。家族になるというだけではなく、新しい家族も作らなければならない。
新しい家族を作るということは──。
その先のことを考え、玲那は叫びそうになった。
好きでもない男と身体を重ねるなんて、そんなのは嫌だ。好きではない相手とその行為をするための準備を好きな相手と一緒にしているなんて。嫌だ、嫌すぎる。
式が近づくに連れ、玲那は沈んだ。
しかし、周りはそれをマリッジブルーだと思い、結婚式が終わって新婚旅行に行けば気持ちも戻ると気にしなかった。
むしろ気にして根ほり葉ほり聞かれたら、景臣への想いを口にしてしまいそうだったから、あまり気にされなかったのは助かった。
物思いに沈んでいた玲那の耳に景臣の低くて落ち着いた声が聞こえてきて現実に戻ってきた。
「え、な、なにかおっしゃいましたか?」
ぼんやりとしていた玲那は聞き逃したので問いかけると、景臣は質問を繰り返した。
「社長はシャワーですか」
「はい、そうです。あの、急ぎの用事があるのでしたら呼んできますが」
道弘との結婚までの間、景臣はずっと玲那のそばにいた。だから景臣が用事もなく道弘の機嫌を損ねるであろう行動をとるとは思えなかった。緊急事態が起こったのかもしれないと玲那は不謹慎ながら喜んでいたのだが。
「いえ、パーティの後、社長の姿を見失ってしまったので所在確認をしただけです」
「そ、そうですか……」
結婚するということはつまり、家族になるということだ。家族になるというだけではなく、新しい家族も作らなければならない。
新しい家族を作るということは──。
その先のことを考え、玲那は叫びそうになった。
好きでもない男と身体を重ねるなんて、そんなのは嫌だ。好きではない相手とその行為をするための準備を好きな相手と一緒にしているなんて。嫌だ、嫌すぎる。
式が近づくに連れ、玲那は沈んだ。
しかし、周りはそれをマリッジブルーだと思い、結婚式が終わって新婚旅行に行けば気持ちも戻ると気にしなかった。
むしろ気にして根ほり葉ほり聞かれたら、景臣への想いを口にしてしまいそうだったから、あまり気にされなかったのは助かった。
物思いに沈んでいた玲那の耳に景臣の低くて落ち着いた声が聞こえてきて現実に戻ってきた。
「え、な、なにかおっしゃいましたか?」
ぼんやりとしていた玲那は聞き逃したので問いかけると、景臣は質問を繰り返した。
「社長はシャワーですか」
「はい、そうです。あの、急ぎの用事があるのでしたら呼んできますが」
道弘との結婚までの間、景臣はずっと玲那のそばにいた。だから景臣が用事もなく道弘の機嫌を損ねるであろう行動をとるとは思えなかった。緊急事態が起こったのかもしれないと玲那は不謹慎ながら喜んでいたのだが。
「いえ、パーティの後、社長の姿を見失ってしまったので所在確認をしただけです」
「そ、そうですか……」