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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第18章 【十八話】契約の落とし穴
 玲那の戸惑いに景臣はなにを思ったのか。

「筒宮の実家に戻ってもいいですよ? だけどそうすると、俺はどこでもあなたの身体をもてあそびますよ? 使用人の前でやってもいいですし、ご両親の部屋の隣で昨日のようなあられもない声を聞かせてやってもいい」
「いやっ」
「それとも、十朱の家に行きますか? 使用人こそいませんが、あなたのことをどこででももてあそぶのは変わりませんよ?」
「な……んで」
「なんで? 言ったではないですか。分かっていないようでしたら、分かるまで何度も言いますよ。俺は金であなたの身体を買った。好きにしていい権利を得たのですよ」

 ──金で買った。
 この現代日本でそれは許されることなのだろうか。
 その批判的な視線を景臣は感じたのか、目をすがめて玲那を見た。

「もちろん、拒否してもいいのですよ? ただ……」

 そう言うと景臣は玲那の耳元で囁いた。

「ご実家がどうなってもよいというのなら、ですが」
「……そんなっ」
「昨日、契約したでしょう? あなたは了承して、契約を交わした」
「…………」

 そう言われてしまえば、玲那は返す言葉がない。
 玲那は、自分の身体と引き替えに、実家を救ってもらうことを了承した。

「あなたは俺の条件に対して、諾と言った。契約内容にはあなたの身体をもてあそんでよい場所は書かれていない」
「っ!」
「俺がそういう気になったのなら、あなたはどこででも受け入れなければいけない」

 そう言われてみればそうなのだが、この男に常識というものはないのだろうか。
 なにか言い返そうと言葉を探していると、部屋の中にチャイムが鳴り響いた。

「おや、業者が来たみたいですね」

 景臣はそう言うと玄関口のインターフォンに近寄り、対応していた。

「荷物を運び入れてもらいますから、俺たちは一時間ほど外にいましょう」
「外にって……」
「一晩中、あれだけ喘いでいたのだから、お腹が空いているでしょう?」
「っ!」
「このマンションにしたのはね、近くにとても美味しい定食屋があるからなんですよ」

 さあ、行きましょうと景臣は玲那の肩を抱くと、外に出るように促してきた。
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