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契約は継続します──報酬はあなたの身体で【完結】
第18章 【十八話】契約の落とし穴

□ ■ □
マンションの近くにある定食屋と言われて歩いてきたのだが、マンションの目の前と言っても差し支えがないほどの近さだった。
玲那は高校生までは家と学校の往復で、それさえも送迎車があったためにあまり外を出歩くことはなかったのだが、大学生になり、他の子よりはかなり窮屈とはいえ、玲那はそこそこの自由を手に入れた。大学でも少ないながらも友だちができた。
その人たちと一緒にお昼を食べに行くことがあり、玲那なりに定食屋がどういったものか知っていた。
玲那は大学時代の友だちに、浮き世離れしているとよく言われていたが、景臣も生活感のなさといい、言動といい、浮き世離れしていると思う。そんな彼に定食屋と言われて驚いたのだが、連れて来られたお店も意外だった。
昨日、連れて行かれたレストランはオシャレで綺麗だったし、以前に友だちと一緒に行った定食屋も綺麗だった。だからそういったところを想像していたのだが、景臣に連れて来られたのは、今にも壊れそうな建物で、引き戸を開けるのも一苦労するほどだった。
景臣が戸と格闘している間、玲那は周りを見渡した。
昨日はすっかり暗くなって車で連れて来られたので分からなかったが、この辺りは綺麗なマンションが多かった。景臣が定食屋と言った建物だけそこに取り残されたかのようにぼろぼろだった。
引き戸の少し手前にはのれんが掛かっていたが、なにか文字らしきものが書かれているというのはなんとなく分かったが、洗濯のしすぎなのか、薄くなって分からない。
引き戸横の壁に立派な木の看板が掛かっていたが、そちらも陽に当たりすぎたせいか、文字が剥がれおちて読めなかった。
その横には、棚があったが、割れたガラスがあえて補修はされていて、中に色あせた食品サンプルが置かれていた。それを見てもどうにも食欲はそそられない。
不安に思っているうちに、ようやく引き戸が開いたらしい。
「玲那、入るぞ」
「……はい」
マンションの近くにある定食屋と言われて歩いてきたのだが、マンションの目の前と言っても差し支えがないほどの近さだった。
玲那は高校生までは家と学校の往復で、それさえも送迎車があったためにあまり外を出歩くことはなかったのだが、大学生になり、他の子よりはかなり窮屈とはいえ、玲那はそこそこの自由を手に入れた。大学でも少ないながらも友だちができた。
その人たちと一緒にお昼を食べに行くことがあり、玲那なりに定食屋がどういったものか知っていた。
玲那は大学時代の友だちに、浮き世離れしているとよく言われていたが、景臣も生活感のなさといい、言動といい、浮き世離れしていると思う。そんな彼に定食屋と言われて驚いたのだが、連れて来られたお店も意外だった。
昨日、連れて行かれたレストランはオシャレで綺麗だったし、以前に友だちと一緒に行った定食屋も綺麗だった。だからそういったところを想像していたのだが、景臣に連れて来られたのは、今にも壊れそうな建物で、引き戸を開けるのも一苦労するほどだった。
景臣が戸と格闘している間、玲那は周りを見渡した。
昨日はすっかり暗くなって車で連れて来られたので分からなかったが、この辺りは綺麗なマンションが多かった。景臣が定食屋と言った建物だけそこに取り残されたかのようにぼろぼろだった。
引き戸の少し手前にはのれんが掛かっていたが、なにか文字らしきものが書かれているというのはなんとなく分かったが、洗濯のしすぎなのか、薄くなって分からない。
引き戸横の壁に立派な木の看板が掛かっていたが、そちらも陽に当たりすぎたせいか、文字が剥がれおちて読めなかった。
その横には、棚があったが、割れたガラスがあえて補修はされていて、中に色あせた食品サンプルが置かれていた。それを見てもどうにも食欲はそそられない。
不安に思っているうちに、ようやく引き戸が開いたらしい。
「玲那、入るぞ」
「……はい」

