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九尾狐(クミホ)異伝
第3章 月夜の変化(へんげ)
 彩里は一体、どこに行っていたのか? 誰かと逢っていたのだろうか?
 そして、あの紅い眼の不思議な狐は何故、山を降りて都まで出てきたのか?
 満月の夜、彩里の白い身体を思うがままに堪能した後、俊秀は再び裏庭に出てみた。むろん、傍らの彩里は幾度も良人に求められ、烈しい情交を重ねた挙げ句、疲れ果てて深い眠りに落ちていた。
 うっすらと涙の跡の残る彩里の寝顔は、まだあどけなさすら残している。
 あの彩里の寝顔を見る度、俊秀は罪悪感を感じてしまう。まだ稚い彩里の身体を貪り、妻が泣いて許しを乞うほど責め立ててしまうのは、彼が彩里に対してあまりにも強い執着を抱いているせいだ。
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