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九尾狐(クミホ)異伝
第3章 月夜の変化(へんげ)
もっと優しく労ってやらねば―むろん、普段の日々の中での彼は、彩里にとっては理想の良人に違いなかった。どんなときでも気遣いを忘れない。ただひと度、閨の中に入ると、彼は我を忘れて、ひたすら彩里の肉体に溺れ切ってしまう。あの瑞々しい身体を獣が仕留めた獲物を屠るように、とことんまで貪らずにはいられない。
もっとも、求められる彩里自身も満更、嫌ではないようだ。初めは恥じらいを見せていた少女が次第に大胆になってゆくのを見るのは、良人として男として悪い気はしない。この娘を女にしたのは自分なのだと、どこか誇らしい気持ちにさえなってくる。たとえ、それがどれほど愚かしい男の身勝手だと笑われようとも。
もっとも、求められる彩里自身も満更、嫌ではないようだ。初めは恥じらいを見せていた少女が次第に大胆になってゆくのを見るのは、良人として男として悪い気はしない。この娘を女にしたのは自分なのだと、どこか誇らしい気持ちにさえなってくる。たとえ、それがどれほど愚かしい男の身勝手だと笑われようとも。