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九尾狐(クミホ)異伝
第3章 月夜の変化(へんげ)
昏々と眠る彩里を起こさないように扉を開けてみても、既に狐はいなくなっていた。既に明け方近くなっているせいか、東の空がわずかに明るさを増し、あれほど強い輝きを放っていた月もぼんやりと白っぽく見える時間になっていた。
あの狐はどこに行ったのだろう。常識的に考えれば、山に帰っていったと結論づけるのが妥当だ。しかし、俊秀は、どこか腑に落ちない―合わせ絵の最後の一枚が見つからないような、もどかしい想いがあった。
自分は何かを見落としている。
あの狐はどこに行ったのだろう。常識的に考えれば、山に帰っていったと結論づけるのが妥当だ。しかし、俊秀は、どこか腑に落ちない―合わせ絵の最後の一枚が見つからないような、もどかしい想いがあった。
自分は何かを見落としている。