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九尾狐(クミホ)異伝
第3章 月夜の変化(へんげ)
紅い眼の狐を見てから数日後、暦は既に十二月に入っていた。
そんなある夜のことである。
俊秀は彩里を誘(いざな)い、風呂場に入った。最初は身も世もない心地でうつむきがちな彩里が自分の指一つで鮮やかな変貌を遂げる。そのことを、俊秀は熟知していた。
向かい合って湯舟に身を沈めると、果たして、彩里は伏し目がちに時折跳ねる湯飛沫を見るはなしに見つめている。
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